オウム真理教元教祖の麻原彰晃(しょうこう)元死刑囚=本名・松本智津夫(ちづお)、執行時(63)=の長男(29)が、自身の誕生日を祝う宗教的行事の実施を拒否したのに強行されたとして、オウムの後継団体「アレフ」と幹部らに損害賠償などを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は、アレフ側の上告を棄却する決定をした。長男の宗教的な呼称や写真の使用差し止め、30万円の支払いを命じた2審東京高裁判決が確定した。
判決によると、麻原元死刑囚は逮捕後、長男と次男を後継に指名。2人はアレフに入会しなかった。アレフは平成26年、長男が拒否したにもかかわらず、長男の誕生日に合わせて、長男の教団復帰を願う催事を全国の道場で開いた。
1審東京地裁は、アレフが催事の際、麻原元死刑囚の考案した「猊下(げいか)」という尊称を長男に対し使ったことについて「現実的な不利益を被りかねない」と指摘。呼称や写真の使用差し止めに加え、100万円の支払いを命じた。高裁は賠償額を30万円に減らし、同様に呼称や写真の使用差し止めを認めた。