韓国が慰安婦関連資料のユネスコ登録を目指した際、日本は「関係国が合意しない限り申請しない」という制度導入に中心的役割を果たした。このため、外務省は「佐渡島の金山」の推薦に消極的だと日韓双方のマスコミは伝えている。
しかし、慰安婦関連資料が登録を目指したのは「世界記憶遺産」(Memory of the World)であり、「佐渡島の金山」が登録を目指すのは「世界文化遺産」(World Heritage)だ。基本的性格が異なる。
岸田首相周辺からは「日本政府が推薦すると、韓国が日本に対する悪宣伝を展開しかねない」との見方が伝えられている。甘い見方だ。
イチャモンを付けられることを恐れて推薦を見送れば、「悪罵の大国」はますます図に乗って、世界中で対日悪宣伝を進めるだろう。
今さら官房副長官が「韓国の主張は受け入れられない」と述べたところで、日本が韓国のイチャモンに屈したとの見方を、どうして払拭できようか。
宮沢喜一首相と河野洋平官房長官(ともに当時)の〝宏池会コンビ〟が1993年、簡単にだまされて(=もしかしたら、だまされたふりをして)犯した大失策を想起しなくてはならない。
「ケンカするのは怖いから嫌だよ」
岸田首相と林外相の〝お公家さんコンビ〟は、同じ轍を踏もうとしているのではあるまいか。