政治家の仕事が本当に評価されるのは死んだ後であると言われることがあります。
当時はクリーンでソフトなイメージしかありませんでしたが、各新聞に載っていたお悔やみの記事を読んで、この人はとても仕事のできる総理大臣だったのだと気づかされました。
第76代総理大臣であった海部俊樹さんが、1月9日に都内の病院で死去されました。享年91。死因は老衰との発表です。
「91歳で老衰なんて早くないですか?」。ある若い記者さんからそう尋ねられました。「海部さんは91歳ですよ、天寿です。大往生ですよ」と答えましたが納得いかない様子。以前この連載で取り上げた第80代首相の羽田孜氏は2017年に82歳で亡くなりましたが、やはり死因は老衰で、そのときも別の記者さんから、「82歳で老衰と診断するなんて、病気を見落としたヤブ医者の言い訳なのでは?」と尋ねられたことがあります。人生100年時代という惹句が流行し、健康な人は誰しも100歳を迎えられるものと信じているのでしょうが、そんなわけがありません。