井形彬・多摩大大学院客員教授「ビジネスでの人権、環境問題並みに重要」

産経ニュース
井形彬・多摩大学大学院客員教授
井形彬・多摩大学大学院客員教授

「ビジネスと人権」をめぐる国際動向について、経済安全保障や人権外交が専門の井形彬(あきら)・多摩大学大学院客員教授に話を聞いた。

--企業の活動と人権に関し、海外でどのような動きが出ているか

「中国の新疆(しんきょう)ウイグル、チベット、内モンゴルの各自治区や香港、ミャンマー、ベラルーシなどでの甚だしい人権侵害が問題視される中、さまざまな国・地域が人権デューデリジェンス(DD、人権に関する企業の注意義務)の法制化を進めている。欧州連合(EU)でも近く、環境と人権のDDの実施を企業に課す法律が成立する見通しだ。今や企業にとって人権問題への取り組みは、環境問題への取り組みと同じくらい重要となりつつある」

--日本の状況は

「日本に人権DDを推進する法律は存在しない。政府が、国連の『ビジネスと人権に関する指導原則』に基づく行動計画を策定したのは最近で、他国に比べ数年単位で遅れている。この行動計画も、企業に人権DDの導入を『期待』するものであり、企業によって対応はバラバラなのが実態だ」

--日本も対応強化が必要ではないか

「対応を急がなければ日本企業が国際競争で不利になる恐れがある。人権意識が低いとみられた企業は、ブランドイメージに傷がつき、ESG(環境・社会・企業統治)投資家による投資の引き揚げやエシカル(倫理的)消費者による製品のボイコットといったプレッシャーを受ける恐れがある。人権を重視するパートナー企業から、ビジネス関係を解消されることもあり得る」

--政府は人権DDのガイドラインを策定しようとしている

「ガイドラインでも、あった方がよいのは間違いないが、任意だとやはり企業によって取り組みにばらつきが出る。法律で最低限これだけはやらなければならないというラインを定め、全ての企業の人権基準を引き上げるのが望ましい」

--ほかにも企業が留意すべきことはあるか

「強制労働や児童労働とは無関係に製造されたものであっても、それ自体が人権侵害に使われる可能性がある部品や製品に関し、ルールをつくろうという国際的な機運が高まっている。米国が昨年12月の民主主義サミットで、オーストラリアなどと打ち出した『輸出管理・人権イニシアチブ』が一例だ。これは従来のように安全保障ではなく、人権を理由に輸出管理を行う初の多国間枠組みだ。監視などの人権侵害に使われる可能性がある技術や製品などの最終利用について、企業はしっかり考えていく必要がある」(原川貴郎)

>遅れる「人権とビジネス」対応 ようやく政治テーマに


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