コロナ直言(18)

犠牲どう許容、今こそ「痛み」議論を 神戸大教授・岩田健太郎氏

産経ニュース
岩田健太郎氏(本人提供)
岩田健太郎氏(本人提供)

《新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、「蔓延(まんえん)防止等重点措置」の適用自治体が拡大している》

重点措置の目的が見えなくなっている。重点措置をやるかやらないかではなく、何を目指すかが重要ではないか。

《猛威を振るうオミクロン株は強い感染力の半面、重症化リスクが低いとされる。医療逼迫(ひっぱく)を回避するため、対策を変え、診療は高齢者や基礎疾患のある人に限るべきだとの考えもある》

オミクロン株の重症化リスクが低いから対策を変えるというのは一つの側面でしかない。複雑・複合的な社会全体を見て、バランスの良い落としどころを探す必要があり、局面によって適切な対策は変わる。

新型コロナは(感染者が)増え始めたときであれば、ロックダウン(都市封鎖)のような強いやり方で押さえ込むのが一番痛みが少ない。オミクロン株も患者が少ない状況なら、強い対策を限られた規模でやるだけで済んだ。

感染対策が必要なのは変わらない。しかし、ここまで感染が広がった今、オミクロン株の重症化リスクを考えると、「徹底した対策」は割に合わなくなっていると考える。オミクロン株に対してもガードを下げる必要が出てくるだろう。

ガードを下げるなら、感染拡大をある程度許容する必要が出てくるが、その場合、重症者や死者といった「痛み」をどれだけ許容し、かつどう利益を得るのか。成熟した議論が必要だが、難しい問題だ。

ここまで感染が広がってしまった段階では、封じ込めは非現実的だ。とはいえ、封じ込め対策を徹底しない道を選んだ英国では毎日100~300人、場合によっては400人くらいの死者が出ている。日本の人口が英国の倍ということを考えると、判断に悩む数字ではある。

昔から日本の政治家や官僚は、表立ってこういった「痛み」についての議論をしてこなかった。しかし、「大事な人命を守るためにはどんな犠牲を払ってもよい」という建前も、「コロナは風邪だ。社会生活を取り戻せ」という主張も、リアルな世界から目を背けたスローガンにすぎず、議論になっていない。

落としどころを探すには、どのようにリスクを取るのかオープンに議論する場が必要で、専門家も国民も相応の覚悟を持って臨まねばならない。

《危険度が5段階で2番目に高い「2類」に相当するコロナの感染症法上の位置付けに関し、見直しを求める声がある》

些末(さまつ)な議論と感じている。現状でも2類相当のはずなのに感染者が自宅療養しているなど、まったく2類の対応ではなくなっている。保健所の負担が軽減できるという意見もあるが、病院側との連絡に電話とファクスを使う昔ながらの仕組みを変えない限り、根本的な問題は解決しないだろう。

ウイルスには2類も5類も関係ない。形式的なことに血道をあげるよりも、本質的なところの改善策を議論して、ビジョンを持つことが求められている。(聞き手 花輪理徳)

いわた・けんたろう 神戸大医学部付属病院感染症内科診療科長。島根医科大(現・島根大医学部)卒。コロンビア大セントルークス・ルーズベルト病院内科研修医、中国の北京インターナショナルSOSクリニックなどを経て現職。

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