英紙が極端と報じた日本のkodokushi

孤独死について報じる「The Times」のウェブ版の記事(同社HPより)
孤独死について報じる「The Times」のウェブ版の記事(同社HPより)

日本で「孤独死」が社会問題となって久しい。高齢化や核家族化が背景にあり、遺体が長期間発見されないことも今は珍しくない。新型コロナウイルス禍で孤独死問題が深刻化する中、その現状を世界が注視している。英紙タイムズは昨年11月、日本の孤独死現場の原状回復を担う特殊清掃についての特集記事を掲載。孤独死の問題は各国共通だが、記事は日本の状況を「extreme(極端)」と論じた。

特殊清掃の現場

昨年11月中旬、大阪府内。スーパーやドラッグストアが点在する幹線道路沿いのマンションの前で、長身の男性がノートを携えて立っていた。タイムズ東京支局長のリチャード・ロイド・パリー氏(53)。来日20年以上のベテラン記者は「英国でも多くの孤独死が発生しているだろう。しかし、日本のように社会問題と認識されてはいないようだ」と語る。

このマンションは65歳の男性が孤独死した現場で、この日特殊清掃が予定されていた。待ち合わせの時間になると、担当する関西クリーンサービス(大阪市)の運営会社の亀澤範行社長(41)に案内され、エレベーターに乗って男性の部屋へと向かった。

男性が孤独死していたマンションの室内=昨年11月、大阪府内
男性が孤独死していたマンションの室内=昨年11月、大阪府内

靴にビニールのカバーをかけて部屋に入った。早速これまで嗅いだことのない異臭が、マスク越しに鼻をついた。

1人暮らしだった男性の部屋は6畳ほどで、電気ケトルや着替えなどが雑然と置かれたまま。かけ布団の上にはダンゴムシのような虫がはっていた。「これはシデムシの幼虫でハエの幼虫を食べる。だからこの部屋にはハエがほとんどいない」。亀澤さんの説明にロイド・パリー氏は興味深そうにうなずいた。

過去最多の依頼件数

孤独死は10月に判明した。きっかけは異臭。死因は熱中症で、すでに死後数カ月が経過したとみられていた。

男性は九州出身で、昨年1月まで近くに住む兄(68)と同じ会社で働いていた。だがコロナ禍もあり、同月の退職後は兄弟で互いに会うことを控えていた。

マンションにはこの日、特殊清掃を依頼した兄の姿もあった。だが彼は作業中、部屋に一歩も近づこうとしなかった。「嫌な臭いや汚れた部屋の光景を弟の最後の記憶にしたくないから」

日本ではコロナ禍で孤独死がクローズアップされる機会が増えた。関西クリーンサービスの場合、コロナ以前は月に20~30件程度だった孤独死に関する特殊清掃の依頼件数が、令和2年夏から激増。「第4波」の脅威にさらされた3年6月は過去最多の220件に上った。

高齢化社会の現状

高齢者の孤独は英国でも社会問題になっており、2018年には世界に先駆けて担当大臣が置かれた。ただ、世界の中でも日本の孤独死は異質なものと認知されている。英語版のインターネット百科事典サイト「ウィキペディア」には、「Kodokushi」の項目もあるほどだ。

《日本の孤独死清掃業が好況》―。こうした見出しで、記事は昨年11月20日付のタイムズ紙面を飾った。男性のケースを《kodokushiの一例》と挙げ、《孤立問題に直面しているのは日本だけではない。しかし日本では状況はより際立っているようだ》(電子版)ともつづった。

記事はその理由を《人々の圧倒的な長寿》と指摘しながらも、日本人の国民性に言及。《労働時間が長く、仕事以外で人生を切り開くことが難しい日本企業の体質も何か影響しているようだ》とまとめた。

取材を受けた亀澤さんは「海外の人たちは孤独死の現場を通じて、高齢化が著しい日本社会の現状を感じているようだ」と受け止める。

世界でも有数の少子高齢社会に突入した日本と、コロナ禍で加速するKodokushi。その現実に世界が強い関心を抱いている。(花輪理徳)

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