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CO充満 わずか20秒 火災シミュレーションで判明

産経ニュース
出火からわずか20秒後には、診察室などフロア全体に煙が充満したとみられる(環境シミュレーション提供)
出火からわずか20秒後には、診察室などフロア全体に煙が充満したとみられる(環境シミュレーション提供)

25人が犠牲になった大阪市北区曽根崎新地のクリニック放火殺人事件は、17日で発生から1カ月となる。死亡した谷本盛雄容疑者(61)がガソリンに着火したことで、高濃度の一酸化炭素(CO)を含む黒い煙が瞬く間にクリニックを包み、多くの患者やスタッフは逃れることができなかった。職場復帰を目指す人や悩みを抱える人にとって、かけがえのない心のよりどころだったクリニック。希望を持って困難に立ち向かう途中で命を奪われた人たちの死を悼み、現場を訪れる市民は絶えない。

ガソリンが使われた今回の放火事件では、高濃度のCOを含んだ煙が、約20秒でクリニックのフロア全体にほぼ充満したとみられることが、解析会社のシミュレーションで分かった。専門家は「揮発性の高いガソリンが一瞬で燃え広がり、恐怖で避難するのは難しかった」とし、多くの被害者がCO中毒で間もなく意識障害に陥ったとみられる。

シミュレーションは、産経新聞が大阪府警などへの取材に基づき、コンピューターグラフィックスを使った解析を手掛ける「環境シミュレーション」(東京)に依頼して実施。クリニックと同様の広さや間取りのフロアにガソリンがまかれ、受付前と非常階段手前の2カ所から燃え上がったという条件で、CO濃度が1%(1万ppm)の煙が広がる様子を調べた。

シミュレーションによると、出火で発生した煙はすぐさま天井まで立ち込め、上部にたまると天井を伝って10秒足らずで最も奥の診察室にまで到達。出火から20秒でフロア全体にほぼ充満していた。当時、換気窓などは開いていたが、煙の排出は限定的だった。

東京理科大の水野雅之准教授(建築火災安全工学)は「密閉された空間では、燃焼に必要な酸素が供給されない。酸素濃度が低下し、ガソリンの不完全燃焼が起こってCOが大量発生する状況に陥った」と指摘する。

府警によると、犠牲となった25人のうち24人の死因はCO中毒で、残りの1人と谷本容疑者はCO中毒に伴う蘇生(そせい)後脳症だった。水野氏によると、CO濃度が1%程度であれば、出火から1~2分後には激しい頭痛や吐き気を起こして意識障害に陥り、数十分以内に死に至る可能性があるという。

また、防犯カメラには非常階段の扉付近も炎上し、谷本容疑者が被害者に体当たりして避難を妨害する様子も写っていた。水野氏は「やけどを負ってでも、その場から逃げることが助かる唯一の方法だった。だが、黒煙が広がって視界が遮られる中で炎に向かっていくことは、心理的に不可能だったのではないか」と述べた。

悩む患者に向き合い続け

事件が起きた「西梅田こころとからだのクリニック」は精神科や心療内科が専門で、働く人をサポートしてきた。オフィス街に近い繁華街・北新地の一角にあり、出火当時も多くの人が診察に訪れていた。

平成27年9月に開院。複数のソファが置かれた待合室や診察室のほか、休職した人らの職場復帰を支援する集団治療「リワークプログラム」を行う部屋などを備えていた。平日は休診日の水曜を除き、仕事帰りに通院できるよう夜間まで診療していた。

事件当日は午前10時に診察が始まり、リワークプログラムも予定されていた。患者らによると、プログラムには多いときで十数人の患者が集い、ストレスとの向き合い方について話し合ったり、臨床心理士に悩みを打ち明けたりしていた。プログラムを受けて復職した人も多かったという。

亡くなった西澤弘太郎院長(49)は、クリニックのホームページに《自分自身が患者様の立場になった時にこうであればいいなと思い診療してまいりました》とつづっていた。

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