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あれは1989年、ドラフト5位で入団した新庄君ら新入団発表の会見場。私は中村監督付きの広報でした。新庄君はいかにも田舎の出で学ラン姿が初々しい。話し方もぼそぼそと素朴でした。
一通りの会見が終了して最後に毎年恒例、記念の写真撮影を全員で行います。普通、真ん中に監督がいて、その両脇にドラフト1、2位。さらに3、4位…と順に外へと配置されていくのですが、5位の新庄君は何を思ったのか、いざ写真を取る際、「どうだ!」とばかりにドーンと真ん中に陣取っていたんです(笑)。
カメラマンとか周りから、「新庄、そこじゃない」とたしなめられ周囲は大爆笑…。今思えばあの瞬間は何だったのか。紙面ではボツになりましたが、その時の貴重な写真もどこかの新聞社に残ってると思いますよ。とにかく受け答えこそ真面目でしたが、目立ちたがり屋の性分はプロ入り最初の日からあったということ(笑)。後にも先にもそんなことをするのは新庄君だけで、「コイツはプロ向きだ」と思った通り、活躍しました。
阪神という球団はファンもマスコミも強烈で重圧がすごい。そういう環境下で新庄君は、自らを駆り立てて実力を発揮したタイプ。素質に恵まれても大半がつぶされて消えるんですが、新庄君は打てなくても守備でお金が取れる選手だったことが大きい。