スポーツが未来を変える

平尾さんと学んだ大学院の思い出胸に びわこ成蹊スポーツ大学 石井智副学長

産経ニュース
びわこ成蹊スポーツ大学の石井智副学長
びわこ成蹊スポーツ大学の石井智副学長

企業人から大学の教員に転身して5年、私に課されたミッションのひとつに、びわこ成蹊スポーツ大学の大学院改革が加わりました。より専門的なスキルを学生に身につけてもらい、さまざまな形でスポーツに携わってきた社会人の方にも有用な場となるよう、門戸をさらに広げる形にできればと考えています。

大学院といえば、私には忘れられない思い出があります。私が社会人でも学べる大学院があると知ったのは、大阪ガスに在籍しながら同志社大学硬式野球部の監督をしていた1996年のことです。野球部を応援してくださる教授から「社会人大学院をつくるので、勉強しないか?」というお誘いをいただきました。同じ年に入学したのが、ラグビー日本代表監督を務めていた同志社大学出身の平尾誠二さんでした。

平尾さんとは大学院入学後から、さまざまな刺激的な会話をしました。印象に残っているのは「コミュニケーション」と「リーダーシップ」の話です。コミュニケーションの話は「自分とのコミュニケーションが一番大事。なぜなら自分を客観的に見ることができないと、成長できないから」という内容でした。リーダーシップの話では、リーダーには①組織の長であるチームリーダー②ゲームをコントロールするゲームリーダー、そして③従来の組織の枠組み、文化などの殻を破る発想ができるイメージリーダー-の3つのタイプがあり、平尾さんは「この3人のリーダーがイノベーション(革新)には必要」と主張していました。平尾さんとそんな話をするたびに、目からうろこが落ちるとともに「こういう話を伝えていかなければならない」と強く思いました。

大学院の同級生には、聴覚障害がありながら一流企業のマネジャーをされていた方や、大学3年生から飛び級で入ってきた学生(彼らはその後、広告代理店経営者や大学教授になった)もいて、まさに多士済々でした。仕事が終わってからくたくたになっていても、大学院に行くたびに刺激をもらい、元気になれました。博士号を取得できたのも、自身の経験と彼らとの交流によって得られた知見があったからです。

2022年が始まりました。びわこ成蹊スポーツ大学には、トップアスリートを指導したり、サポートしたりしている先生が多くいます。このような先生方と学生や、多様な経験知をもった社会人の人材も交流して新たな「知」を創造する場、学ぶことによって元気になれる場、そんな大学院にぜひ、変容させたいものだと考えています。

石井智(いしい・さとし) 1960年生まれ、奈良県橿原市出身。奈良県立郡山高3年時に第50回選抜野球大会に出場し、ベスト8。同志社大学3年時に全日本大学選抜北海道大会で優勝。就職先の大阪ガスでは、都市対抗野球大会初出場に貢献。在職中に同志社大学硬式野球部監督として神宮大会出場の実績を残す。座右の銘は「雑草のごとく」「心の声に従え」(平尾誠二)。

スポーツによって未来がどう変わるのかをテーマに、びわこ成蹊スポーツ大学の教員らがリレー形式でコラムを執筆します。毎月第1金曜日予定。

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