経営リスク「感染拡大」8割 本社企業アンケート

産経ニュース
新宿駅周辺のビル群。新型コロナウイルス禍で企業はさまざまな課題に直面している
新宿駅周辺のビル群。新型コロナウイルス禍で企業はさまざまな課題に直面している

産経新聞社が主要企業に行ったアンケートからは、長引く新型コロナウイルスの影響や脱炭素社会に向けた取り組みなど、社会の大きな環境変化を前に経営の対応も多様化している実態が浮かび上がった。次々に新たな課題に直面する中、令和4年は各企業がそれぞれの最適解を探る一年となりそうだ。

【コロナ】回復見通し半数超 警戒は継続

新型コロナの新変異株「オミクロン株」の世界的な広がりを受けて、アンケートでは4年の経営上のリスク(複数回答)に「新型コロナウイルス感染拡大」を挙げた企業が118社のうち最多の96社に上り、約8割を占めた。感染収束が依然見通せず、警戒を緩められない企業の実情が鮮明となった。一方で、ワクチン接種やウイルス感染の検査体制の拡充などが進んだこともあり、事業環境が3年と比べて回復すると回答した企業は55・9%を占め、感染対策の効果を前提に景気が上向いていくとの見方が広がっている。

ワクチン接種などの徹底で、旅行消費が上向くことも見込まれ、鉄道大手は「人の移動が回復するとともに、経済活動の正常化が進む」と期待する。

日本の国内総生産(GDP)がコロナ禍前の水準に戻る時期は、サービス消費の回復などを織り込んで「4年4~6月期」(27社)が最多だった。

ただ、コロナ感染の拡大以外にも経営上の懸念は山積しており、「原材料価格の高騰」(59社)「脱炭素化の影響」(27社)「半導体不足」(24社)などがリスクとして挙がった。

半導体不足は徐々に解消に向かうとの見方もあるが、大手自動車メーカーは「一部モデルの生産に影響が出ている」と明かす。

「企業、家計とも感染再拡大を警戒しながらの経済活動となることから回復には相応の時間がかかる」(大手保険)といった景気への慎重な見方も多く、GDPのコロナ禍前水準への回復は5年以降とする企業も18社に上った。

4年の日経平均株価の高値は「3万2千円台」(22社)が最多。「3万3千円台」「3万円台」がそれぞれ15社で、約31年ぶりの高値となった3年9月14日の3万670円10銭を超えるか、同水準との見通しだ。

【ワクチン】職場接種3回目 42%「検討中」

新型コロナへの対応については、4割超に当たる50社が3回目のワクチンの職場接種を行うかどうか「検討中」と答えた。ワクチンの供給遅延や申請の煩雑さを指摘する声があり、効率的な職場接種の仕組み作りが望まれる。

1、2回目の職場接種を実施したのは計96・6%。3回目の接種も「自社で実施予定」「他社などと協力して実施予定」が合計で5割を超えた。

ただ、3回目は「検討中」が42・4%に上り、様子見の状況だ。3回目は年度の切り替わりに伴う繁忙期と重なることも予想され、「自治体から接種券の送付時期がいつ頃になるか懸念している」(生命保険)との声があった。

職場接種を経験した上での課題では「多大な事務負担」(証券)「人員確保」(重工)などが多く挙がった。「ワクチンの供給遅延で運営上相当な混乱が生じた」(製造)「国の対応に一貫性がない」(流通)などの厳しい指摘もあった。

一方、コロナの影響による業務面の変化では「働き方・勤務地の見直し」と答えた企業が31・5%に上った。テレワークは広がっているが、昨年9月30日での緊急事態宣言解除の前後の出社率は、解除前の最多が「21~40%」(約5割)だったが、解除後は「41~60%」(約3割)と、ワクチン接種者の増加や感染者数の減少で出社率の方針を変えた企業も複数あった。「新しい生活様式に合わせた品ぞろえと売り場の変更」(流通)「非運輸事業の比率を高める」(鉄道)など、ビジネスモデル見直しに踏み込んだ企業が1割強に上った。

【温暖化対策】炭素税賛成4割 排出量取引は5割

気候変動問題への国際的な関心の高まりで、二酸化炭素(CO2)の排出量に応じて課税する「炭素税」の導入も検討が進む中、回答企業の約4割が導入に「賛成」か、「条件付きで賛成」とした。

炭素税は1990年のフィンランドを皮切りに、スウェーデン、フランス、スイスなどでも導入された。日本でも平成24年に「地球温暖化対策のための税」が制度化されたが、CO21トン当たりの税率は289円で、1万円を超えるスウェーデンなど諸外国よりも大幅に低い。

アンケートでは「各企業の国際的な競争力の相対的低下や、家計への影響については留意する必要がある」(金融)など、「条件付き賛成」を表明する企業が42社(35・6%)と目立った。

世界的な脱炭素化の流れの中で、「反対」を明確に表明する企業は8社と限定的だが、3割超を占めた「その他」の回答の中には、「(脱炭素化に向けた)技術開発や設備投資の原資を奪う」(製造業)と実質的には反対とみられる企業も目立つ。「成長に資するか否かという評価軸がぶれない形で議論されることが最も大事だ」といった意見もあった。

企業に温室効果ガスを排出できる上限を定め、達成が難しい企業は、多く削減した企業から排出枠を買うことを認める「排出量取引制度」は5割近い57社が「賛成」か「条件付き賛成」とした。

令和4年度税制改正大綱は、産業界に配慮する形で炭素税の導入を見送った。

【物価上昇】原材料費 今年も価格転嫁34社

原材料や燃料の価格上昇の波が押し寄せている。ビジネスへの影響を主要企業に尋ねたところ、「影響はある」と回答した企業は79社に上り、全体の7割近くに達した。「影響はない」は13社、「どちらともいえない」は18社だった。

影響があるという企業に、自社の製品やサービスの価格に転嫁する考えがあるかも聞いた。「令和4年に価格転嫁を実施するか実施の可能性がある」との回答は計43社を数えた。このうち34社は昨年も価格転嫁を実施しており、継続的な値上げが広がりつつある。一方、「4年に価格転嫁の実施予定はない」企業は計21社だった。

各社は原材料の早期調達や差別化商品の投入による販売価格引き上げ、固定費削減といった努力を続けている。それでも「自助努力では吸収しきれない」(繊維)との声も目立つ。

ただ、価格転嫁は容易ではない。「顧客企業による承認が課題」(電機)や「国内では業界慣習上価格転嫁が難しい」(自動車)など苦しい胸のうちも聞かれた。

物価上昇時に大事なことは、賃金の上昇を伴っているかどうかだ。賃上げ(ベースアップ)について、「引き上げたい」という企業は23社、「一時金や手当の拡充などベア以外で検討」している企業は20社だった。「引き上げは困難」とした企業は7社だった。

岸田文雄政権は「成長と分配の好循環」の実現のため、経済界に賃上げを要請している。こうした政権の動きに対する企業の反応はまちまちだ。

ある建設会社は「コロナ禍で奮闘した従業員への還元と国策への呼応」として3%以上のベアを検討中と明かした。一方、「賃上げは企業の自主的な判断に委ねられるべきだ」(保険)と反発する声もあった。

【働き方改革】男性育休 2割未満最多

アンケートでは、男性社員の育休取得が日本を代表する企業ですら十分に進んでいないことも明らかになった。各社に男性育休の取得率を聞いたところ、2割未満とする企業が最多の39社(33・1%)で、取得率が100%の企業は1割にも満たなかった。

女性の社会進出が進む中、男性育休の取得はワークライフバランスだけでなく、少子化対策の観点でも重要とされ、政府も取得促進に力を入れている。

育児・介護休業法が改正され、今年4月には企業に対し従業員への育休取得を働き掛けることが求められるほか、令和5年4月からは、一定規模以上の企業に男性育休の取得状況の公表が義務付けられる。

アンケートは、男性育休の平均取得期間も聞いた。最多が1~3カ月(33・1%)で、1~2週間(28%)という回答が次に多かった。平均で4カ月以上取得している企業は4社にとどまった。

取得促進の課題を複数回答で聞いたところ、最も多いのは「社内の理解・雰囲気の醸成」(47%)で、「人手不足や業務が多忙」(30・1%)、「取得を希望しない人が多い」(13・1%)と続いた。

ただ、制度改正を機に「取得率100%、1カ月以上の長期取得を目指す」(金融)など、前向きな企業も目立った。テレワークなどが定着し、「育児休業を取得しなくてもある程度両立できる」(IT)といった意見もあった。

回答企業

IHI▽曙ブレーキ工業▽旭化成▽アサヒグループホールディングス▽味の素▽イオン▽出光興産▽伊藤忠商事▽ANAホールディングス▽SMBC日興証券▽NEC▽NTT▽ENEOSホールディングス▽MS&ADインシュアランスグループホールディングス▽大阪ガス▽オリックス▽花王▽鹿島▽川崎重工業▽関西電力▽キッコーマン▽キヤノン▽九州電力▽京セラ▽キリンホールディングス▽クボタ▽KDDI▽神戸製鋼所▽コスモエネルギーホールディングス▽コマツ▽コロワイド▽サッポロホールディングス▽サントリーホールディングス▽JR東海▽JR西日本▽JR東日本▽JFEホールディングス▽JTB▽Jパワー(電源開発)▽J・フロントリテイリング▽資生堂▽清水建設▽シャープ▽商船三井▽スズキ▽住友化学▽住友商事▽住友生命保険▽セイコーエプソン▽西武ホールディングス▽積水ハウス▽セコム▽セブン&アイ・ホールディングス▽ゼンショーホールディングス▽双日▽ソフトバンクグループ▽SOMPOホールディングス▽第一生命ホールディングス▽ダイキン工業▽大成建設▽大和証券グループ本社▽大和ハウス工業▽高島屋▽武田薬品工業▽中部電力▽T&Dホールディングス▽TDK▽ディー・エヌ・エー▽DMG森精機▽帝人▽東京海上ホールディングス▽東京ガス▽東芝▽東レ▽トヨタ自動車▽豊田通商▽日産自動車▽日本製鉄▽日本郵船▽日本航空▽日本生命保険▽日本たばこ産業▽日本マクドナルド▽任天堂▽野村ホールディングス▽パソナグループ▽パナソニック▽ファーストリテイリング▽ファミリーマート▽富士通▽富士フイルムホールディングス▽ブリヂストン▽マツダ▽丸紅▽みずほフィナンシャルグループ▽三井住友トラスト・ホールディングス▽三井住友フィナンシャルグループ▽三井物産▽三井不動産▽三越伊勢丹ホールディングス▽三菱ケミカルホールディングス▽三菱地所▽三菱自動車▽三菱重工業▽三菱商事▽三菱電機▽三菱UFJフィナンシャル・グループ▽明治安田生命保険▽メルカリ▽ヤクルト本社▽ヤマトホールディングス▽ヤマハ発動機▽吉野家ホールディングス▽楽天グループ▽リクルートホールディングス▽りそなホールディングス▽ローソン▽ロート製薬(五十音順)

主要118社アンケート 中国事業「継続」7割 人権問題 新たなリスク

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