2022年はロケットイヤー? 日米欧の威信かかる過去最大ロケットが続々デビュー

SankeiBiz

人類史上かつてないほど多くの民間人が宇宙を訪れた2021年は、「宇宙旅行元年」と呼ばれた。そして今年2022年は、スペースX社のスターシップ、NASAのSLS、JAXAのH3など、それぞれの威信が掛かる新型ロケットのデビューが続く。今回は、初打ち上げを間近に控えるロケット群を紹介したい。その数なんと6機。そのすべてが各国各企業において過去最大の大型ロケットである。

2022年初頭「スターシップ」&「スーパーヘビー」

左はスターシップとスーパーヘビーの全貌。史上最大の打ち上げシステムであり、全高は120m。右は両機が搭載する新型ロケットエンジン「ラプター」(SpaceX)
左はスターシップとスーパーヘビーの全貌。史上最大の打ち上げシステムであり、全高は120m。右は両機が搭載する新型ロケットエンジン「ラプター」(SpaceX)

スペースX社は現在、超大型の宇宙船「スターシップ」とロケット「スーパーヘビー」を開発しているが、その初めての軌道打ち上げテストが2022年の早い時期に予定されている。

宇宙船「スターシップ」の単独打ち上げテストは、昨年5月までに計5回実施されている。最大高度12.5kmまで上昇した後、全エンジンを停止して機体を自由落下させ、地上に達する直前にエンジンを再点火し、垂直に自律着陸させるという、かつてなく複雑なマニューバの実証テストだった。4機目まではすべて着陸前後で機体が爆発。しかし、5機目の「SN15」はすべての行程に成功、無事着陸した。以下にスペースX社によるスターシップとスーパーヘビーに関する最新のビデオクリップをご紹介したい。

▼超大型の宇宙船を載せて地球の周回軌道へ

そしていま予定されているのが、この宇宙船「スターシップ」を超大型ロケット「スーパーヘビー」の上部に搭載した状態での打ち上げテストだ。スペースX社の拠点である米テキサス州の射場から東へ打ち上げ、地球の周回軌道に乗せ、ハワイ沖に着水させるというプランであり、これが「スーパーヘビー」の初フライトとなる。

スペースX社では通常、打ち上げ前のロケットに対して「スタティック・ファイア・テスト」(静的点火テスト)を行う。液体メタンと液体酸素からなる推進剤を実際に機体に注入し、本番の打ち上げと同じ状況を整え、ほんの一瞬だけエンジンを点火するというテスト・リハーサルだが、現在は「スターシップSN20」に対してこのテストが繰り返されている。また並行して「スーパーヘビー」の推進剤タンクに対する圧力テストなどが行われている。

スペースX社は打ち上げテストに関して事前告知をあまりしないが、サイト「EVERYDAY ASTROUNAUT」では即時的な情報を得ることができる。

2022年 1-3月「H3」

日本の新しい基幹ロケットH3(JAXA)

日本の基幹ロケットである「H-IIA」や、その派生型の「H-IIB」の後継機となる液体燃料ロケットが「H3」であり、その初打ち上げは2021年度中とされている。

▼H-IIAから50%カット

H-IIBが全高56.6m、全備質量531トンだったのに対し、H3は最大全高63m、最大全備質量574トン(H3-24L)と、ひとまわり大きくパワフルになっている。新たに開発された第1段エンジン「LE-9」の搭載基数、ブースターの数、最頂部のフェアリングのサイズの違いによって、6仕様ある。パーツ数や製造の工程数を減らすことで、その打ち上げコストはH-IIAと比較して約50%に抑える予定だ。

H3には6タイプがある。図は左からH3-30S、H3-22S、H3-22L、H3-24L(JAXA)

一時は新型エンジンLE-9に技術的な課題が見つかり、開発スケジュールが少々遅延したが、2022年を迎えた現時点においては、予定どおり3月いっぱいで初打ち上げが行われることが期待されている。

2022年2月12日以降「SLS」

SLSが搭載するRS-25の開発製造は、米国の老舗ロケットメーカー「ロケットダイン」社による(NASA)

NASAの「アルテミス計画」は、ヒトを再び月面に送り、そこに滞在する基地を建設し、月の周回軌道に宇宙ステーションを航行させ、そのステーションを前哨基地として有人火星探査にも挑むという壮大な宇宙計画である。その第一段階となるのが「EM-1(Exploration Mission-1)」であり、新型の超大型ロケット「SLS(Space Launch System)」によって、新型の有人宇宙船「オリオン」を月周回軌道へ投入する。

その打ち上げが、2月12日以降に予定されている。ただし、このEM-1において宇宙飛行士は搭乗せず、新型機材のテストが主目的とされている。

▼130トンを打ち上げる能力

SLSには、スペースシャトルのSSMEエンジンを進化させたRS‐25エンジンを4基搭載。スペースシャトルの低軌道への打ち上げ能力が27.5トンだったのに対し、SLSは130トンを上げる能力を持つ。

左ふたつが有人宇宙船仕様。右ふたつが物資輸送用のカーゴ仕様。EM-1ではいちばん左の「SLS Block 1」を使用(NASA)

また、このロケットにはJAXAの超小型キューブサット「OMOTENASHI」も相乗りで搭載される。これは月面着陸機のための実証機であり、それが成功すれば日本初の月面着陸機となる。

2022年前半「ヴァルカン」

ULA社の新型ロケット「ヴァルカン」(ULA)

アルテミス計画の一環としてNASAが展開する商業月輸送サービス「CLPS(Commercial Lunar Payload Services)」は、月への輸送手段となるロケット、宇宙船、探査機、着陸機、探査ローバーなどの宇宙機の提案・開発を民間企業に託す計画である。NASAはこの計画によって月探査や開発を、多角的で円滑、かつ低コストで進めようとしており、その第一回目の打ち上げが2022年の第1四半期に予定されている。

▼「死の湖」に着陸

この打ち上げを担うのが、ULA社の新型ロケット「ヴァルカン」であり、アストロボティック社の月面着陸機「ペレグリン」を打ち上げる。28機ものペイロードを搭載したペレグリンは、月の「死の湖」に着陸する予定だ。

商業月輸送サービス「CLPS」の第一弾として打ち上げられる月面着陸機「ペレグリン」(Astrobotic)

ヴァルカンの第1段には、ベゾス率いるブルーオリジン社が開発する液体燃料ロケット「BE-4」を搭載予定であり、この打ち上げが同エンジンのデビューとなる。BE-4はブルーオリジン社が開発する超大型ロケット「ニューグレン」にも搭載されるが、現在、BE-4の開発は遅延気味であり、2022年中の打ち上げが危ぶまれている。

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