女性の尿失禁治療では骨盤底筋運動(体操)が第一選択で行われ有効性は高いが、長期に続けられないことが多いのが欠点。HITS療法は、30分で腹筋運動を5万回行ったのと同等の筋収縮効果があるという。これは骨盤底筋運動を3カ月間行った以上の運動量に相当する。
「治療中はトントンとたたかれたり、お尻の周りが収縮する感覚がありますが、痛みはありません。それに磁場の出力を調節できるので、耐えられないようなケースはほとんどありません。筋肉が収縮するので疲労感はありますが、治療後は普通に歩行して帰宅できます。侵襲が非常に少なく、副作用がほとんどないのがHITS療法の一番の特長です」
HITS療法は、1回30分の治療を8回(週2回、4週)繰り返すのが基本。重症の尿失禁などは16回行う場合もあるという。海外の臨床報告では、尿失禁で16回行った場合で約9割に改善効果が認められたことが報告されている。
「当院では、これまで約30人の尿失禁の患者さんに重症度により8~16回の治療を行いましたが、6カ月以上経過している患者さんの再発はありません。多くは薬物療法が中止できたので患者さんの満足度は高いです」
自由診療なので治療費用は施設によって異なるが、だいたい1回3万円前後、8回20万円前後で行われている。(新井貴)