高市氏は「総理がおっしゃる適切な時期とか、国益はどういったものか」と問い、さらに、「早期にしっかりとしたメッセージを、人権問題に取り組む日本の姿勢を打ち出してもらいたい」と注文をつけた。
同様に、岸田政権の対中外交に圧力をかけているのが安倍晋三元首相だ。安倍氏は次のように指摘している。
「中国に対する政治的メッセージは、日本がリーダーシップをとるべきだ。時を稼いでどういう利益があるのか。日本は結局、物事を決められないのではないかと(国際社会に)思われてはならない」
「適切な時期」と言いながら、岸田首相は自らの決断を先送りした。この種の時間稼ぎは無意味であるどころか、日本が「決断のできない国家」であることを自ら暴露してしまうことを安倍氏は懸念していたのだ。
「ひ弱なハト派」に見える岸田政権の唯一の支えは、安倍―高市ラインの存在だろう。
安倍―高市ラインによって軌道修正がなされることによってのみ、岸田政権は何とか「自民党らしさ」を保っている。本年を回顧して最も印象的だったのは、自民党総裁選を機に、安倍―高市ラインという自民党の新たなる保守本流が明らかになったことだ。
日本国民の多くは自民党に「保守としての覚悟」を求めている。ハト派による迷走は、民主党政権で懲り懲りとした。安倍―高市ラインの発言に「聞く力」を発揮した際、岸田政権は背骨のしっかりとした政権となるはずだ。