許さない 未解決事件のいま

(3)ポツンと一軒家の惨劇 私的懸賞で解決願う長男 茨城高齢夫婦殺害

現在は空き家となった小林孝一さんと妻の揚子さんが殺害された自宅。木々に囲まれた現場だけが薄暗くなっていた=15日、茨城県つくば市(永井大輔撮影)
現在は空き家となった小林孝一さんと妻の揚子さんが殺害された自宅。木々に囲まれた現場だけが薄暗くなっていた=15日、茨城県つくば市(永井大輔撮影)

研究学園都市として知られる茨城県つくば市。整備された街路樹や新しい建物が街の開発を物語る。だが少し外れると田園風景が広がる。小林孝一さん=当時(77)=と妻の揚子(ようこ)さん=同(67)=が殺害された住宅はそうした場所にある。現在は空き家となり、取り残されたようにポツンとたたずむ。正月に発覚した事件からまもなく4年。解決の糸口を求め、県警や遺族は目撃情報の提供を呼びかけ続ける。

恨みによる犯行か

平成30年1月1日。新年のあいさつに来た次女が見つけたのは、顔を鈍器で殴られ血だまりに浮かぶ夫婦の姿だった。前年12月30日午後7時半ごろにスーパーから車で帰宅した夫婦の会話がドライブレコーダーに残されていたことと、31日午前7時ごろに訪ねてきた友人への応答がなかったことから、県警はこの約12時間に殺害されたとみている。

現場に目立った物色の跡がなく、夫婦が繰り返し殴られて殺害されていたことから、県警は怨恨(えんこん)による犯行を有力視した。当時の捜査幹部は「特に揚子さんは過去にカラオケ居酒屋で働いており顔が広く、交友関係の洗い出しは時間がかかった」と振り返る。だが、殺人につながるようなトラブルは見つからず、面識がない「流し」や強盗などの可能性も含め捜査が続く。

「若いとまでは言えないが、機敏に動ける人物の可能性は高い」。ある捜査関係者はこうもらす。夫婦の自宅は玄関が施錠されており、1階の窓は格子がはめられている中、血痕が残っていた無施錠の2階ベランダの窓から逃走したとみられるためだ。高所から逃げる力のある人物は犯人像の一つとなっている。

遺族への視線

取材に応じた小林さんの長男、照幸さん(50)は、怨恨による犯行の可能性を指摘する。照幸さんが警察署で対面した父の遺体は目の横が切れ、鼻が潰れていた。揚子さんも執拗(しつよう)に殴られていたという。

遺体を見た照幸さんは「豪邸でもないあの家を見てお金があると思う人はいない」と話し、飲食業などを通じて幅広い交友関係を持つ夫婦を恨む人物がどこかにいるとみる。

一方、事件をめぐっては当初、照幸さんが周囲から「犯人視」された一面もあった。事件後にコンビニであった友人から冗談交じりで「お前が犯人だろ?」などといわれることもしばしばだった。警察からも捜査の一環として、携帯電話のデータを残すよう言われ、事件前後の行動についても連日聞かれた。

「捜査には必要だから仕方ない。おやじのことは同じ男として尊敬していた。もちろん犯人ではない」。犯人が分からない未解決事件の遺族は、こうした「視線」を経験することが少なからずあるといわれる。

事件解決に協力するため、照幸さんは今年1月に最大100万円を支払う私的懸賞金を実施。「自分たちにできることはやらなければ」と話す。「酔っぱらったときにポロッと『人を殺したことがある』とか、そういう誰かのつぶやきを聞いた人もいるかもしれない。懸賞金目当てでもいい。どんな情報でもほしい」と呼びかける。

現場は林に囲まれ周囲の住宅も少ない。今年12月25日の夜には、空き家となった小林さん方が一部焼けるボヤも起きた。関係者によると、油分などをまかれた様子はないが、電気などは止まっており、放火の可能性もあるという。

当時の捜査幹部は「現場前の道路は地元の抜け道のようで、事件後に検問を行った際も交通量はそこそこあった」と振り返る。「4年前の年の瀬、あの道を通っていないか、そして不審な車や人物を見ていないか、もう一度思い出してほしい」と力を込めた。(永井大輔)

茨城・つくば市高齢夫婦殺人事件 平成30年1月1日、茨城県つくば市東平塚の建築業、小林孝一さんと妻の揚子さんが、自宅2階で死亡しているのが見つかった。2人は頭部を中心に数カ所~十数カ所、平らな形状の鈍器で殴られており、死因は失血死だった。有力情報には最大100万円の懸賞金が支払われる。情報提供は県警フリーダイヤル(0120・144・559)まで。



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