年の瀬記者ノート

荒天の試合強行に疑問 降雨コールド負けの東海大菅生

産経ニュース
【大阪桐蔭―東海大菅生】八回、雨で手からバットがすっぽ抜けた東海大菅生・本田峻也。この後、降雨コールド負けを喫した=8月17日、甲子園球場(鴨志田拓海撮影)
【大阪桐蔭―東海大菅生】八回、雨で手からバットがすっぽ抜けた東海大菅生・本田峻也。この後、降雨コールド負けを喫した=8月17日、甲子園球場(鴨志田拓海撮影)

手からすっぽ抜けるバット、ぬかるんだ地面に沈むボール…。8月17日、甲子園球場で行われた全国高校野球選手権大会1回戦で、西東京代表の東海大菅生は優勝候補の大阪桐蔭にあと一歩まで迫ったが、23年ぶりの降雨コールドゲームで敗北した。試合が打ち切られたのは、七回の成立条件を満たした直後の八回表。雨による順延続きだった同大会で主催者側が試合を強行した印象が強く、敗戦後に「仕方ない」と口をそろえた監督や選手の表情が、記者の目にはやるせなく映った。

優勝候補相手に3点を追っていた東海大菅生は、八回に1死一、二塁と一発同点のチャンスを迎えたが、ここで試合が中断。約30分後に、降雨コールドゲームが告げられ、4―7で敗れた。逆転のチャンスに文字通り水を差され、初戦突破はならなかった。

中断直前には、雨で濡れた手でスイングした打者のバットがベンチ方向に飛び、遊ゴロのボールがぬかるむグラウンドに沈み内野安打となるなど、球場のコンディションは限界を迎えていた。

試合後、若林弘泰監督は「これだけ大会が順延しているので、試合を行ったのは仕方ない」と語る一方で、「全国トップの学校と互角に戦えたと思うので、天候の良いところで勝負させたかった」と悔しさをにじませた。エースの本田峻也投手も「悔しいが、雨の中でやることは想定していたので仕方ない」と話した。

今夏の甲子園は、新型コロナウイルスだけでなく、長雨にも翻弄された大会だった。順延は史上最多の7度。東海大菅生の試合前にも3日連続の順延があり、当日も朝から雨で、記者は中断するだろうと思いながら雨の中のプレーボールを聞いたのを覚えている。

試合が強行されたのも無理はない事情はあった。甲子園球場では8月31日にプロ野球阪神の公式戦があり、入場券を販売しているため、日程を動かすことができなかったからだ。

回を追うにつれて雨脚は強まり、本田投手は「六回以降は常に最終回のつもりで投げていた」という。その環境で七回まで試合を強行し、成立させた運営側の姿勢には、「大人の都合」を感じた人が多かったのだろう。試合後にはインターネット上などで主催者に対する批判が集まった。

日本高野連も、雨天順延続きと東海大菅生戦の批判は苦い経験だったとみえ、大会中に、再試合となるノーゲームをやめて後日続きを行う「継続試合」の導入を検討していることを記者会見で明かした。

東海大菅生戦のようにコールドゲームとなった場合は継続試合の対象にはならないが、成立を目指して無理に試合を継続する事態は避けられる。12月に日本高野連会長に就任した宝馨氏も「選手たちがやりやすい環境で、試合をさせてあげたいという思いがある。早いうちに進めていきたい」と意欲を示す。

大人の都合に「仕方ない」と言葉をのみ込んだ東海大菅生ナインは、青春をかけたこの夏をどう思い出すのだろう。甲子園は球児たちにとって夢の舞台。大人たちは、選手が試合のみに集中し白球を追いかけられる「選手ファースト」の環境整備を急いでほしい。

(永井大輔)

  1. あすの「カムカムエヴリバディ」1月28日第62話あらすじ 回転焼きの評判は上々も何もできないジョー、ある日るいが倒れ…

  2. 「カムカムエヴリバディ」堀部圭亮演じる「吉右衛門ちゃん」登場 父子の1人2役に「パパそっくり」「けちえもんに…!」と視聴者大喜び

  3. どうやって撮影したのか?共通テスト問題流出事件 ITジャーナリストの三上洋氏「スマホのみ使用の可能性が高い」「発信者特定は時間の問題」

  4. Eカップ小島みゆ、変形ビキニで浜辺を歩く 「妹役という設定で演技に初めて挑戦しました」

  5. 名脇役の斎藤洋介さんが死去 69歳、人知れずがんで闘病