九州正論懇話会

安倍晋三元首相 対中外交「示すべき意思示せ」

産経ニュース
「これからの日本の姿」をテーマに講演する安倍晋三元首相=19日午後、福岡市中央区のホテルニューオータニ博多
「これからの日本の姿」をテーマに講演する安倍晋三元首相=19日午後、福岡市中央区のホテルニューオータニ博多

福岡市中央区のホテルニューオータニ博多で19日に開かれた九州「正論」懇話会の設立30周年記念講演会(第150回)では、安倍晋三元首相が「これからの日本の姿」と題して講演。台頭する中国との外交をめぐり「示すべき意思はしっかり示さなければならない」などと訴えた。講演の主な内容は次の通り。

平成24年に第2次安倍晋三政権ができた当時の社会状況は異常だった。民主党政権で経済は低迷し、デフレ不況に沈み込んでいた。やるべきことは、まず経済を立て直し、国民の信任を得て、さらにやるべきことを進めていこうと思った。

日本は長くデフレが続いている。第1次安倍政権を終えた後、米エール大の浜田宏一名誉教授ら当時リフレ派といわれた先生たちから話を聞き、これまでの金融政策が間違っていたのではないのかという思いに至った。

日本における主流派の考えと世界の常識は違っていることにも気付いた。米国などと同様、雇用を改善するために思い切った金融緩和政策をやることにした。第2次安倍政権は、マクロ金融政策を政策的な柱に据えた初めての政権だったと思う。

結果、正社員の有効求人倍率が1倍を超えるなど雇用は劇的に改善した。雇用が増えたことで、女性や高齢者が活躍する場が広がった。これが経済成長にとって大きなプラスになった。安倍政権で格差が広がったというのは大間違いで、相対的貧困率は改善した。

昨年、安倍政権下で新型コロナ対策として計57兆円の補正予算を組んだ。その後の菅義偉政権の頑張りもあり、失業率は先進国で最も低い水準になっている。ちゃんと財政出動していけば雇用は維持できる。財政の健全性だけを考えるのは間違いで、日本の財政状況はまだまだ積極財政を行う余裕はある。

× × ×

21世紀最大の課題は台頭する中国とどう付き合っていくかだ。安全保障については、中国は巨大化した軍事力を背景に南シナ海や尖閣諸島(沖縄県石垣市)に対して一方的な現状変更の試みを行っている。台湾への野心を隠さず、軍事的な威圧を高めている。

実際に衝突や紛争に発展させないためには、まずバランスを取ることが必要だ。中国の軍事費は日本の4倍。第2次安倍政権発足以降、それまで削減していた防衛費がプラスに転じたが、さらに積み上げていき、能力を上げていかなければいけない。

平和安全法制の制定で、日米同盟の絆は強くなった。日米だけでは不十分なので日米豪印による「クアッド」の枠組みをつくり、さらには「自由で開かれたインド太平洋」という構想を示した。

日米英にオランダを加えた共同訓練も行っている。かつて米国、英国、中国、オランダによる「ABCD包囲網」があったが、今はC(中国)がJ(日本)に変わった。どこを包囲しているかは刺激的なのでいわないが。

もう一つ大切なことは、示すべき意思はしっかり示していくということだ。先般、私は「台湾有事は日米同盟の有事になる」と発言したが、言うべきことをしっかり言っておく必要があると考えた。

台湾への侵攻は平和安全法制上の「重要影響事態」になることは間違いなく、「存立危機事態」に発展する可能性もある。その可能性について述べたということで、それをやったら大変なことになるということはあらかじめ明確に示しておく必要がある。

× × ×

今、心配なのはウクライナの国境近辺に10万人以上のロシア軍が展開していることだ。バイデン米大統領は早々に軍事的介入はせず、経済制裁を行うと警告しているが、ロシアのプーチン大統領にどれくらい効くか。ここは台湾の鑑(かがみ)にもなる。もしロシアの侵攻を国際社会が止め得なかったら、中国がどう考えるかということもしっかりと想像しなければいけない。それを考えた上での対応が求められている。

日本のミサイル防衛は抑止力ではなく、防御力でしかない。自衛隊が出動しないのに、日本のために自国の若者だけが命を懸けることに米国の世論は賛成するだろうか。米国が日本を助けないのではないかと思えば、相手国はミサイルの発射ボタンを押してしまう危険がある。日米同盟の絆をこれからも強くしていくためには、日本も打撃力を持たなければいけない。

  1. NHK朝ドラあすの「ちむどんどん」8月16日OA第92話あらすじ 独立に向けて課題が山積みの暢子(黒島結菜)、賢秀(竜星涼)は我那覇と再会し…

  2. 【許さない 未解決事件のいま】(3)ポツンと一軒家の惨劇 私的懸賞で解決願う長男 茨城高齢夫婦殺害

  3. 【底辺キャバ嬢の盛り場より愛を込めて】困窮女性の大量参入で「ヤバいパパ」が急増 シャワー浴びてる間に財布からお金を盗み逃走

  4. 中露〝蜜月崩壊〟習主席がプーチン氏見捨てた!? 「ロシアの敗北は時間の問題」中国元大使が発言 インドの浮上で変わる世界の勢力図

  5. 「やばい、やばい!」響く悲鳴で朝のホーム騒然 神戸の飛び込み事故