全国大学選手権(18日、近大10-13慶大、秩父宮)慶大(関東対抗戦4位)は近大(関西2位)に13-10、同大(関西4位)は大東大(関東リーグ戦3位)に31-29で競り勝ち、日大(関東リーグ戦2位)は日体大(関東対抗戦5位)を41-22で破った。
80分の終了を知らせるホーンが鳴った直後、逆転勝利を狙う近大のパスがスローフォワード。ノーサイドの笛に、黒黄ジャージーの慶大フィフティーンは躍り上がって喜んだ。
「大学選手権で勝てれば、チームが変わると信じていた」
HO原田衛主将(4年)はしみじみ話した。3勝4敗で4位だった対抗戦では、終盤に明大、早大、帝京大と3連敗。10月23日の立大戦以降、2カ月も白星がなく、今月4日の帝京大戦後、4年生が集まりミーティング。原田は「メンタル面など確実に変わった」と言い切った。
3―0の後半3分、試合を動かすビッグプレーが生まれた。ラックから左でパスを受けたFL今野勇久(3年)が、内側のスペースに走り込んできたFB山田響(2年)に意表を突くリターンパス。こちらも立大戦以来となる今季4トライ目を決めた山田は「準備してきたプレー。対抗戦では止められていたが、やるならここだと思った」としてやったりだ。
3点差の終了寸前、近大が自陣からの中央51メートルPGを狙った。決まって同点のまま終われば規定で、トライ数1-2で近大に軍配が上がる。「入るなと念じていた」(原田)思いが伝わったか、キックは届かなかった。
2大会連続の8強入りで、26日の準々決勝(熊谷)はリーグ戦を制した東海大と当たる。「さらに上に向かうために準備したい」と栗原徹監督(43)。くしくもこの日、栗原監督が指導者としてのあり方の教えを受け、11月に86歳で亡くなった日比野弘・早大元監督の納骨が行われた。難敵を倒し、8大会ぶりの4強へ、タイガー軍団はさらに牙をとがらせる。(田中浩)