総費用1兆1000億円 ケタ外れの最新鋭宇宙望遠鏡、25年越しの打ち上げ迫る

SankeiBiz
ノースロップ・グラマン社で組立中のJWST(NASA / Northrop Grumman)
ノースロップ・グラマン社で組立中のJWST(NASA / Northrop Grumman)

12月22日(水曜)、ついに宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」が打ち上げられる。宇宙開発史上もっとも大型で、もっとも複雑な構造を持つこの宇宙望遠鏡は、宇宙で最初に生まれた星「ファースト・スター」を観測するのが使命だ。今回は、あらゆる意味でケタ外れのこの宇宙機の概要を、具体的な数字とともにご紹介したい。2021年12月22日現在、「12月25日(土曜)午後9時20分打ち上げ」に延期

テニスコートと同サイズ、折り紙のように畳んで打ち上げ

黄色い部分が反射鏡の主鏡。その下に広がるのが5層構造のサン・シールド(NASA / Northrop Grumman)
黄色い部分が反射鏡の主鏡。その下に広がるのが5層構造のサン・シールド(NASA / Northrop Grumman)

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope、以下JWST)は、過去最大の宇宙望遠鏡である。その形状は特殊で、魔法の絨毯のようなサン・シールド(日よけ)の上に、望遠鏡部分が搭載されている。

サン・シールドの大きさは全長22m×全幅12m。テニスコートとほぼ同サイズだ。宇宙機としては巨大すぎるため、そのままの状態ではロケット最頂部に格納することができない。そのため機体各部はコンパクトに折りたたまれた状態でフェアリングに収納され、打ち上げ後、宇宙空間で約2週間かけて展開される。

CG動画を見ていただければ、打ち上げ後の工程がご理解いただけるだろう。

【宇宙空間で展開するジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡】

質量はハッブルのわずか56%

これだけ巨大な機体でありながら、JWSTは6.2トンと超軽量である。その質量はハッブル(11.1トン)の56%しかない。開発を主導したのはNASA(米航空宇宙局)だが、機体の主要部分はノースロップ・グラマン社が製造、アリゾナ大学が観測機器などを提供している。

フランス領ギアナにあるギアナ宇宙センターからアリアン5ロケットによって打ち上げられるイメージ画像(NASA / Northrop Grumman)

この最新鋭機を宇宙へ送り届けるのは、欧州の大型ロケット「アリアン5」。つまりこのプロジェクトにはESA(欧州宇宙機関)も参画している。打ち上げ時間は12月22日(水曜)の21時20分(日本時間)、南米大陸にあるギアナ宇宙センターでローンチされる。その様子は下記のサイトなどでリアル配信される予定だ。

前例のない1兆1000億円という巨額予算

JWSTの機体は軽い、しかし、その予算はかつてなく重い。

この計画がスタートした1996年当初の予算は5億ドル(544億円、同年平均レートで算出、以下同)で、打ち上げは2007年が予定されていた。

しかし、機体開発が遅延し、コストが大幅に超過したため、2005年に計画が大きく見直された。その結果、JWSTの開発から運用終了までのライフサイクルコスト(LCC:生涯費用)は45億ドル(4960億円)と再見積もりされている。

その後もテスト時におけるサン・シールドの断裂や、新型コロナによって計画はさらに遅れ、結果、打ち上げ時期は2021年12月まで後退。2022年度のNASAの年間予算(NASA FY2022 Budget Estimates)を見ると、その生涯費用はなんと97億ドル(1兆971億円)にまで膨れ上がった。

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