主張

「文通費」の法改正 使途公開が国民の常識だ

産経ニュース

国会議員に支給される文書通信交通滞在費(文通費)を日割り支給に変更する歳費法の今国会改正が、見送られる公算が大きくなっている。

与野党は日割り支給への見直しでは一致している。だが、野党側が使途公開などを求め、与党側が難色を示している。

国民を愚弄している話ではないか。自民党と立憲民主党の両国対委員長は11月18日に、今国会で法改正する方針で合意したばかりだ。自民、公明党の与党は、使途公開を含め今国会での法改正に応じるべきだ。

世間では、交通費や通信費などについて、領収書を添付して精算するのが常である。国会議員が領収書の添付による使途公開ができないわけがない。

自民の茂木敏充幹事長は、審議時間の不足を理由に、日割り支給に変更する法改正だけを優先すべきだとの考えを示している。

使途公開について茂木氏は「各党で合意できるなら異存はない」としているが、足を引っ張っているのは当の自民ではないのか。公明も使途の公開については、さらなる審議が必要としている。

立憲民主の泉健太代表は12月10日、日割り支給のみ改正に応じる構えの自民について「お茶を濁してはならない」と批判した。日割り支給だけを実現する与党案に関して、使途公開や国庫返納の実現に向けた見直し時期を確定するよう求めた。

日本維新の会と国民民主党、日本共産党は使途公開や国庫返納を可能とする立民の法案に賛同している。

国会議員には文通費のほか、給与に当たる歳費と年2回の期末手当、立法事務費、航空券引換証など手厚い支給がある。

国会議員の公務には一定の経費がかかる。税金でそれをまかなうのは当然だが、使途について透明性を図るのが筋である。それを拒むようでは、文通費本来の趣旨である郵送や通信、交通費ではなく、別の目的に転用していると疑われても仕方あるまい。ならば、文通費自体を削減する議論に踏み込む必要が出てくる。

岸田文雄首相は国会で「各党各会派が合意を得る努力を重ねる必要がある」と述べたが、自民総裁として成案とりまとめにリーダーシップを発揮したらどうか。

世間の常識と乖離(かいり)した現行制度の放置は許されない。