チーム学校

子供の支援をAIで可視化 神戸市でスタート 

産経ニュース

福祉的な支援が必要なのに見過ごされている子供の存在を人工知能(AI)を使って可視化し、具体的な支援につなげる取り組みが一部の自治体で始まっている。神戸市は全国で初めて独自に予算を付け、今月から本格的な活用をスタートした。鍵を握るのは、教員と教員以外の専門職が連携する「チーム学校」の取り組みだ。支援が必要とされた子供については専門職が集まる「チーム会議」で検討し、知恵を出し合う。

神戸市が活用するのは、大阪府立大の山野則子教授(児童福祉)らが開発した「AIスクリーニングシステム(YOSS)」。複数の教員が、欠席・遅刻▽身だしなみ▽健康▽いじめアンケート-など約40項目について、気になる程度を点数で入力する。データをもとに全員の状況を「スクリーニング会議」で確認し、チーム会議で検討するかを判断する。

AIはあらかじめ、全国の支援の成功例やうまくいかず事件化した事例の特徴を学習。会議での判断をサポートするとともに、必要な支援のレベルについて①学校内での支援②子供食堂など地域資源の活用③行政機関や福祉制度の活用-の3パターンから提案する。

神戸市ではYOSSを18の小中学校で試験導入し、今月から来月にかけて約7千人を対象にスクリーニング会議を実施する。教育委員会の担当者は「支援が届いていない子供がいるなら、きちんと把握すべきだ。まずは継続し、効果を検証したい」と話した。

背景には、学校で「ちょっと気になる」程度の子供が見過ごされがちだという現実がある。同府泉大津市立戎(えびす)小はAIは使わないものの、神戸市と同じ40項目のスクリーニングシートを活用し、教員の経験や勘に頼らない丁寧な検討が行われている。

「友人とのトラブルが多く、よく怒られている。無気力で自己肯定感も低く、『先生はいつもおれを悪者にする』と言っている」

今年7月に同校で行われたチーム会議。ある男子児童について担任が相談すると、教頭や生活指導担当の教員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー(SSW)らが、よりよい関わり方の検討を始めた。

教員と専門職らによるチーム会議。スクリーニングで浮かび上がった児童への支援方法を決めた=7月、大阪府泉大津市の戎小

会議で決まったのは、児童に「頑張っているな」などのポジティブな声かけを学年の教員全員で意識的に行うこと。出席したSSWの神谷直子さんは「子供は『いろんな大人が自分を見てくれている』と感じることが重要。あいさつや声かけだけで、ガラッと変わることも多い」と話す。

同校では低めに設定された基準点を超える児童を幅広くチーム会議で取り上げ、問題が深刻化する前に「予防」することを目指している。同校の男性教員(34)は「しんどさが表に出ていなかった子供に目が向くようになった」と手応えを口にした。

「チームで決定」へ意識改革を

山野教授らの研究によると、小中学生のうち約30%が虐待や非行、不登校などにつながる要因を持っている。だが実際に自治体の支援対象となっているのは10%ほど。問題はあっても深刻化はしていない「グレーゾーン」にいる残りの子供を発見し、最初に手をさしのべられるのは学校だけだ。

大阪府立大の山野則子教授

だがこうした支援を多忙な教員だけが担うのは困難で、スクールソーシャルワーカーら専門職と協力する体制が必要だ。しかし、多くの学校では専門職の配置が不十分で、山野氏は「対応をチームで決定する文化が学校組織にないことも問題だ」と指摘する。

一方政府では、自治体の教育・福祉・医療部門などが持つ子供たちの情報をデータベース(DB)で共有し、支援に生かすことを視野に、11月にデジタル庁など4府省庁によるプロジェクトチームが発足した。組織間の連携がないために虐待などが見過ごされた事例は後を絶たず、DBは子供の状況を可視化する「スクリーニング」の切り札として期待されている。

ただ、現場で支援を行う「人」が育っていなければ情報は生かせない。山野氏は「目の前の問題への対応だけでなく、10年後、トラブルを予防できる社会になるよう考えてほしい」と話し、まずは専門職と協力する「チーム学校」の意識を学校現場に根付かせることが不可欠だと訴えている。(西山瑞穂)


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