ベーシックインカムはもう“夢物語”じゃない? 世界各国で実証実験…日本の現在地は

SankeiBiz

新型コロナウイルス禍による経済の混乱が続く中、住民に用途を制限しない資金を定期的に支給するベーシックインカム(BI)の実現に向けた手探りの動きが広がっている。米国の主要都市では来年から、低所得者の一部にBIを給付する実証実験が始まる予定。日本でも10月の衆院選で日本維新の会が公約にBIを掲げた。日本での導入をめぐっては4人家族であれば月20万円が給付される規模での導入が財政的にも実現可能とする試算もある。貧困や経済格差の解消を狙う「究極のバラマキ政策」は、夢物語から抜け出そうとしているのか。

すべての国民にお金を配る本格的なベーシックインカムは「究極のバラマキ政策」ともいわれる(Getty Images)※画像はイメージです
すべての国民にお金を配る本格的なベーシックインカムは「究極のバラマキ政策」ともいわれる(Getty Images)※画像はイメージです

■米国の大都市で実証実験開始

「われわれの市の歴史の中で最もプログレッシブ(革新的)な予算だ」。米イリノイ州・シカゴ市のローリ・ライトフット市長は10月27日の声明で、この日に議会を通過した2022年度予算の意義を興奮気味にアピールした。

コロナ禍でダメージを受けた市民への支援に軸足を置いた167億ドル(約1兆9000億円)の予算で、世界から注目を集めたのはBIの試験プログラムの承認だ。米メディアによると、年収3万5000ドル以下の市民から無作為に選んだ5000人に月500ドルを1年間配る計画。給付金がどのように使われるかなどを検証するという。

米国ではカリフォルニア州ロサンゼルス市も3200人を対象に月1000ドルを1年間にわたって配布する実験を行う。参加者の応募はすでに締め切られ、来年1月までに給付対象者を決めるという。市は事業の効果を徹底的に検証することで、同様の事業をより大規模に行おうとする他の自治体の助けにもなるとしている。

■著名エコノミストからも支持

BIは「最低所得保障制度」とも訳され、本来は全国民に最低限度の生活ができるだけの資金を配布する政策を指す。貧困解消や経済格差縮小などの効果があると期待され、シカゴなどの取り組みは小規模な一里塚といえる。一方、フィンランドでは17年から18年にかけて国のレベルで効果を検証する実験が行われた。ケニアでもBIに関する実証実験が行われているという。

日本でも日本維新の会が「事前に」「誰もが」「必ずもらえる」形でのBIの導入を掲げている。小泉純一郎政権下で経済政策の司令塔を務めた竹中平蔵元総務相ら、著名なエコノミストも支持を表明してきた。

ただ、BIの具体的な姿は、給付の対象と金額をどのように定めるかに大きく左右される。対象と金額を大きくとれば国民の生活を保障する効果も大きくなるが、巨額の財源が必要となるため実現の難易度は増す。逆に対象と金額を小さくすれば実現可能性は高まるが、政策効果は小さくなる。

■実現可能との試算も

日本で想定される絵姿としては元日本銀行審議委員のエコノミスト、原田泰氏が15年の著書「ベーシック・インカム」(中央公論新社)で示した試算が有名だ。

原田氏は20歳以上に月7万円、20歳未満に月3万円を給付することが可能だと主張。必要な予算(96.3兆円)の捻出方法として、所得税の基礎控除や扶養控除などを廃止したうえで税率を一律30%とすることや、老齢基礎年金(満期加入の場合で約6万5000円)や医療扶助を除く生活保護費を廃止することなどを挙げている。

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