在日米軍が管理する「根岸住宅地区」に取り囲まれて暮らす横浜市の佐治みどりさん(70)と夫、実さん(73)が、日常生活に制約を受けているとして、国に計約1億1500万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(三浦守裁判長)は夫妻の上告を退ける決定をした。8日付。請求を棄却した一、二審判決が確定した。
判決によると、根岸住宅地区は昭和22年に連合国軍総司令部(GHQ)に接収され、現在は米海軍が管理。平成16年に日米が返還を合意し、27年ごろには全ての米軍関係者が退居したが、返還時期のめどは立っていない。
佐治さん夫妻は、外出時にゲートで通行パスを提示する必要があるほか、土地利用にも制限があると主張。横浜地裁は令和2年3月「生活や土地利用に一定の制約が課され、長期間継続しているものの、受忍限度を超えた違法な権利侵害には当たらない」と指摘した。東京高裁も支持した。