国際政治に詳しい福井県立大学の島田洋一教授は「民主主義サミットは台湾が招待されたことが大きなポイントだ。米国の同盟国である日本としては、サミットの場で『台湾の民主主義を守る』というメッセージを明確に表明することが求められるだろう」と指摘する。
欧米諸国の議会では、中国当局による新疆ウイグル自治区などでの人権弾圧を非難する決議が採択されているうえ、各国の議員団が台湾を訪問して国際的地位を高める動きが相次いでいる。
一方、日本では、先の通常国会で中国を非難する決議が見送られた。今回の臨時国会で実現するかは不透明だ。岸田首相の曽祖父が台湾で事業をしていた縁があり、台湾は当初、岸田政権に期待していた。
ところが、林外相が11月21日のテレビ番組で、中国の王毅国務委員兼外相から訪中要請を受けたことを公表し、「調整していこうと」と発言したことなどでムードが変わった。米国と台湾は「岸田政権は親中政権では」と警戒しているという。
バイデン政権は6日午後(日本時間7日未明)、ウイグルでの人権弾圧を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と批判し、来年2月の北京冬季五輪の「外交的ボイコット」を発表した。オーストラリアと英国、カナダも8日、これに続いた。
日本は日米同盟に加え、米国とオーストラリア、インドも加えた戦略的枠組み「QUAD(クアッド)」で緊密に連携している。
もし、岸田首相が民主主義サミットで、中国の人権弾圧を批判して「外交的ボイコット」を明言し、「台湾の地位向上」を支持する姿勢を示せば、バイデン政権など民主主義諸国の信頼を回復することができそうだ。