首相、安保・改憲に意欲 コロナ対応は安全運転

産経ニュース
立憲民主党・泉健太代表の代表質問に答弁する岸田文雄首相=8日午後、国会・衆院本会議場(矢島康弘撮影)
立憲民主党・泉健太代表の代表質問に答弁する岸田文雄首相=8日午後、国会・衆院本会議場(矢島康弘撮影)

岸田文雄首相は8日の衆院代表質問で、新型コロナウイルス対応や経済対策に関する答弁では安全運転に徹する一方、安全保障や憲法については意欲的な姿勢を際立たせた。

この日の代表質問のトップバッターは、立憲民主党の新代表に就任したばかりの泉健太氏だった。「批判一辺倒」のイメージ脱却を目指し、新型コロナ対策などについて矢継ぎ早に提言を投げかけたが、首相はほぼ従来の政府方針の説明に終始した。泉氏に「遅すぎた救助隊」と揶揄(やゆ)されても特段の反応は見せず、論戦は低調に終わった。

質問者が自民党の茂木敏充幹事長に代わると体温を上げた。茂木氏が「GDP(国内総生産)比1%枠という従来の考えにとらわれず、現実の安保環境に対応した防衛費の拡充が必要だ」と水を向けると、首相は「何より大事なのは国民を守るために必要なものは何なのかだ」と応じた。政府は従来「防衛費は必要経費の積み上げ」と説明しているが、首相と自民幹事長が国会の場で1%枠を否定した意義は小さくない。

兆候はすでにある。政府は令和3年度補正予算案に過去最大となる7千億円超の防衛費を計上。哨戒機をはじめとする装備の前倒し取得を決めた。3年度の本予算と合わせれば防衛費は6兆円を超えており、GDP比1%の壁は事実上突破している。

外務省幹部は「首相は安倍晋三元首相でさえ明言しなかった『敵基地攻撃能力』についてもはっきり言っている。中国の軍事圧力がより先鋭化している背景もあるが、安全保障に関しては『岸田カラー』が十分出ている」と話す。

自民党の党是である憲法改正についても前向きな質疑が展開された。茂木氏は「感染症による緊急事態や厳しさを増す安保環境など時代は大きな転換点を迎えている。国会議員が広く国民議論を喚起し、国民に選択肢を示すべきだ」と主張。首相は「憲法は国の礎であり、あるべき姿を最終的に決めるのは主権者である国民だ」と同調した。

国会を見渡せば、先の衆院選で日本維新の会が躍進し、国民民主党とともに改憲論議を求めている。立民は「改正ありきではない」(泉氏)と相変わらずだが、首相と自民幹事長が前向きな姿勢を示した以上、改憲論議を阻むものはないはずだ。この日のやりとりが本気なのか、単なるポーズなのか、国民は厳しく見ている。(石鍋圭)