日米開戦80年、何を守るため戦地へ 先人400人の「解」

産経ニュース
日本軍機の攻撃を受け、大爆発を起こして沈没する米戦艦アリゾナ=1941(昭和16)年12月7日(日本時間8日)、米ハワイ・オアフ島の真珠湾
日本軍機の攻撃を受け、大爆発を起こして沈没する米戦艦アリゾナ=1941(昭和16)年12月7日(日本時間8日)、米ハワイ・オアフ島の真珠湾

先の大戦で前線の日本軍将兵は一命を賭し、何を守ろうとしたのか-。歴史学者で大阪観光大講師の久野(くの)潤氏(41)はこれまで400人以上の戦争経験者に取材し、そうした問いの「解」となり得る証言を集めてきた。12月8日の日米開戦から80年。先人の思いを次代へ紡ぐために、今を生きるわれわれの姿勢こそが問われていると力説する。

〈加賀(日本海軍の航空母艦)や乗組員が小さく見えるようになっていった。『お前らだけでも無事に母港に帰還してくれ』と、心の中で別れを告げました〉

日米開戦の火ぶたが切られた真珠湾攻撃。加賀の艦攻搭乗員として戦闘を経験した前田武さん=福井県出身、令和元年に98歳で死去=は生前、久野氏のインタビューに発艦時の心境をこう語った。

湾内で敵戦艦「ウェストバージニア」を目がけて魚雷を投下。「命中-」。茶色の水柱が高く上ったのが、前田さんの視界に入った。加賀に帰還を果たした際には、機体に22発の弾痕(だんこん)があったという。

「多くの死傷者を生んだ戦争に対する批判や反省はあってしかるべきだが、命がけで戦った人たちへの敬意は忘れないようにしたい」と久野氏。近代史などの学術研究以外にも、実際の戦闘を経験した元将兵らへの聞き取りを通じ、内面に深く迫る。そうしたライフワークを始めて10年以上になる。

一部メディアによる「狭い切り取り方」で、「侵略者としての自己告白」がクローズアップされがちな報道に接するたび、「特定のイデオロギーと結び付けられているような気がして違和感がぬぐえなかった」

国家の存亡にかかわる重大局面で戦場の将兵は何を考えていたか。予断は許されないと自戒しつつ、取材で見えてきたのは任務遂行への使命感、祖国や家族を思う混じり気なしの気持ちだった。

開戦から80年が経過し、存命者も限られる中、当たり前の平和を享受する世代が真摯(しんし)に耳を傾けなければ、貴重な証言が埋もれてしまいかねない。歴史の評価は得てして後世に委ねられるが、軍首脳による戦争指導とは別に、将兵それぞれの奮戦の足跡は先人の名誉のためにも語り継ぐ必要があると考えている。

久野氏は言う。「一面的な視点に終始せず、膨大な証言から戦争をかなう限り等身大にとらえるように努めてこそ、浮かび上がる史実や教訓もある」(矢田幸己)

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