毎月7万円の積み立てで32年後に1億円
潤沢な資産を形成できれば、その運用益で悠々自適の生活を送ることもできるだろう。だが問題は、いかにその資産を形成するか、だ。支出を切り詰め、多くを投資に回すとして、数千万円から1億円もの資産を形成できるものなのか。桶井さんは「方法としては、労働、節約、貯蓄、投資の歯車を回し続けるしかありません。投資は米国株が必須でしょう」と言い切る。
金融広報中央委員会(事務局・日銀)が発表した2020年の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、2人以上世帯が保有する預貯金や有価証券など金融資産の平均額は1436 万円。調査対象世帯の保有額を順番に並べて、その真ん中に位置する中央値は 650 万円だった。
桶井さんによると、米国市場を代表する500銘柄で構成される株価指数「S&P500」に投資するETF(上場投資信託)や投資信託では、1990~2020年までの30年間でトータルリターン(総収益)が年率11%あったという。特に直近の10年では14%に達していた。
仮に500万円を年率11%で運用した場合、20年後には複利効果の恩恵を受けて約4031万円。500万円というまとまった資金がなくても、毎月3万円を年率11%で積み立てていけば、20年後に約2597万円の資産が形成される。元本に運用収益をプラスして再投資することで、利益が利益を生むのだ。20年の投資期間であれば、40代からでも十分間に合う。
「複利11%はやや強気のシミュレーションとも取れますが、それを下回った場合は、サイドFIREして不足分だけを非正規雇用で働いて補うか、FIREしてミニマム生活をすればよいと思います」
時間を味方につける長期投資なら複利効果は絶大だ。22歳から毎月7万円を年率7%の複利で運用した場合、32年後の54歳で資産1億円に到達する。若いうちから毎月7万円の投資を継続するのは並大抵なことではないが、桶井さんは「ドケチになってください。ケチは財を成すのです」と力を込める。
例えば、ついつい余分なものを買いがちなコンビニエンスストアは利用しない。出先で飲み物を買わないことも大切なようだ。ペットボトル飲料やランチドリンクで1日計500円使っていたとすると、年間で約18万円になる。「毎朝3分早起きしてマイボトルを準備するだけで、これだけの金額が節約できて投資に回せるのです」
桶井さんはタバコやギャンブルもせず、飲み会も大切なものだけ参加し、二次会には参加しないと決めていたという。不用品は捨てず、必ずリサイクルショップなどで買い取ってもらい、少しでも現金化することを心がけた。子供の頃に使っていたおもちゃや、壊れたメガネフレームも千円単位で売れたという。通信費や保険代など、できるところから固定費を下げていくことも重要のようだ。