古着から新品同様にリメーク 東京・葛飾のデザイナーがブランド設立

産経ニュース
自宅兼アトリエで古着をリメークする新宮夏海さん=11月13日午後、葛飾区
自宅兼アトリエで古着をリメークする新宮夏海さん=11月13日午後、葛飾区

国や自治体、企業などでSDGs(持続可能な開発目標)の実現に向けた動きが広がる中、若者の間にも課題解決への取り組みが浸透しつつある。葛飾区に住む服飾デザイナーの新宮夏海(しんぐうなつみ)さん(26)もその1人だ。ファッション業界の大量生産・大量廃棄に疑問を抱き、自身で古着のリメークブランドを設立。「一着を少しでも大切に」との思いを胸に、古着を新品同様に変身させている。(永井大輔、写真も)

新宮さんは、小学生の頃から服を作ることが好きで、高校卒業後は茨城県の実家から都内の服飾系専門学校に通い、服作りを学んだ。だが、卒業後、ルームウエアの人気店で働き始めると、毎週のように入荷される新作と廃棄される売れ残りの服を目の当たりにした。

「私が一から作る意味ってあるのかな」。流行を取り入れた低価格の服を大量生産し、短いサイクルで販売する「ファストファッション」に疑問を持つようになったという。

環境省によると、平成2年から令和元年にかけて、国内アパレルが販売する洋服の供給量は約20億点から約35億点に増えた一方、一着当たりの価格は6848円から3202円と下がった。不要となった衣服の約7割はゴミとして処分されており、大量生産・大量廃棄の傾向が高まっている。

そんな中、新宮さんは平成29年に自身のブランド「SHINPIN」を設立。古着でもリメークすれば新品になるという意味を込め、インターネット上で腕を振るった〝新品〟の販売を始めた。

葛飾区に自宅兼アトリエを構え、材料の仕入れから制作、販売まで1人で手掛ける。完成した服は、写真共有アプリ「インスタグラム」で紹介し、店のホームページなどで注文を受け付ける。インターネット環境があればネット上に誰でも自分の店を開ける時代ならではの取り組みだ。

作品は多岐にわたり、チャイナ服をワンピース風に作り直した服や、アラブの絨毯を使ったジャケット、海外の膝掛けなどを複数かけ合わせたトレーナーなど、古着ならではの面白さが広がる。新宮さんは「服を簡単には捨てない。こういう形のサスティナブル(持続可能な)ファッションがあることを広めていきたい」と力を込める。今では仕入れの際、古着専門の卸業者や地元のリサイクルショップだけでなく、地元住民から材料となる古着を受け取ることもあるそうだ。

一方で「個人の動きでは限界があるのも事実」とも。新宮さんは「今では、不要な服を素材にまで分解して新しい服に作り直す技術もある。国や自治体、企業レベルで服を命のように循環させる環境を整備してほしい。服は生きている」と力を込めた。

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