三重「正論」懇話会の第22回講演会が30日、津市のホテルグリーンパーク津で開かれ、前統合幕僚長の河野克俊氏が「日本の安全保障とその課題~岸田政権に望むこと」と題して講演した。
河野氏は中国が南シナ海に独自の境界線「九段線」を設定し、主権や権益が及ぶと主張している点について、「安全保障上の一番の課題。海洋における国際法を守っていない」と指摘。「海洋の平和と安定のためには中国の行動を抑制しなくてはいけない。価値観を共有し、海軍力を持つ国の連携が必要」と述べ、日米とオーストラリア、インドの4カ国による協力枠組み「クアッド」、欧州諸国との連携の必要性を強調した。
中国の習近平国家主席が政権の長期化に向けて台湾統一に強い意欲を示していることにもふれ、「中国は条件が整えば台湾統一を行動に移す。日米は中国が躊躇(ちゅうちょ)するような抑止対策を考えないといけない」と語った。