積水化学のアンカー、19歳の木村梨七が右人さし指を掲げながらゴールした。28日行われた全日本実業団対抗女子駅伝で、昨年2位から狙い通りの初戴冠。野口英盛監督は「今年こそ勝ちたいという思いを選手みんなが持っていたのが結果に表れた」とたたえた。
東京五輪1万メートル代表の新谷仁美を5区に配置。ここで逆転する想定だったが、5位でタスキを受けた3区の佐藤早也伽(さやか)がトップに押し上げ、後続との差を一気に広げた。新谷がタスキを受けた時点で29秒の貯金があり、悠々と逃げ切りに成功。新谷は「私に花を持たせてくれるはずだったのに…」と笑いながらも、「全員で勝ち取った優勝」と強調した。
昨年は新谷が3区で驚異的な区間新をマークしながら、終盤に逆転された。重要だったのは他の選手が記録を縮めること。この1年は選手が自ら補強などを取り入れ、5千メートルでも自己ベスト更新が続出。野口監督は「メンバーを選ぶのが心苦しいほど、総合力が上がった」と強調した。
東京五輪で21位と惨敗した新谷も気持ちが沈んでいた時期が長かったが、仲間の笑顔に囲まれ「前を向くきっかけになった」と話す。やはり、駅伝はチーム力が問われるスポーツだ。 (丸山和郎)