鉄道車内の安全対策 国は積極的に後押しを

産経ニュース
京王線刺傷事件で、現場近くの国領駅前で対応にあたる警察官や消防隊員ら=10月31日午後、東京都調布市(佐藤徳昭撮影)
京王線刺傷事件で、現場近くの国領駅前で対応にあたる警察官や消防隊員ら=10月31日午後、東京都調布市(佐藤徳昭撮影)

東京・京王線の車内で10月末、乗客が男に刺されるなど17人が負傷した事件をはじめ、鉄道車内での事件が相次いでいる。刺傷事件が起きた京王線の車両には車内カメラが設置されておらず、迅速な状況把握が課題となったが、関西では首都圏に比べ車内カメラの導入が低調だ。国は鉄道会社に委ねることなく、ハード、ソフトの両面で後押しする必要がある。

乗客の安全を守り、セキュリティー向上に寄与する車内カメラ。首都圏では東京五輪・パラリンピックのテロ対策として業界全体で設置が進んだとされる。対して関西では、JR西日本の山陽新幹線と北陸新幹線では83%の車両に設置されているが、在来線では特急電車や新型車両の一部に限られる。大阪メトロと京阪電鉄は、通勤通学での利用が多い電車の一部に取り付けている半面、映像をリアルタイムで確認できるようにはなっていない。

設置率の向上には課題が多い。費用はもちろん、既存の車両に取り付けるには空き車両のやりくりが必要になる。非常時に迅速な避難誘導を図るためには即座に映像を把握できるシステムが有効だが、多くの電車が同時に走行する中、大量の動画を効率的に解析するには人工知能(AI)の活用なども求められてくる。

斉藤鉄夫国土交通相は今月2日の会見で、国の財政支援について「(京王線刺傷事件の)原因究明の結果を見ながら検討していく」と述べた。鉄道業界は新型コロナウイルスの影響が直撃しており、一定の補助は有力な選択肢だろう。

ただ、問題は設備面にとどまらない。JR東日本は7月から、一部の駅に設置した顔認証機能付きの防犯カメラで、同社が被害に遭った重大犯罪で服役した出所者らを検知対象とする方針だった。だが、社会のルール作りが進んでいないなどとして後に撤回した経緯がある。

この例だけでなく、公共性の高い鉄道事業では、防犯対策と乗客のプライバシー保護が常にてんびんにかけられてきた。平時では監視への懸念が強く、事件が起きれば再発防止の徹底が叫ばれる-。この繰り返しではどっちつかずの対応になりかねない。

一連の事件で、鉄道の安全は社会全体の治安に直結することが浮き彫りとなった。顔認証をはじめとする最先端技術を防犯対策に生かすため、国は詳細なルール作りや社会的な合意の形成も急ぐべきだ。(野々山暢)

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