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現金給付で景気は良くならないワケ 政府が繰り返した3度の「トンデモ」政策

7~9月期の国内総生産(GDP)成長率の速報値は実質で前期比マイナスとなった。われわれの生活実感に直結する名目では0・6%減で、1~3月期以来、今年は下がりっぱなしという惨状だ。

政府や日銀は新型コロナウイルス禍による家計消費の低迷を主因として挙げる。このままコロナ感染が収束すれば、景気はV字型回復も可能ということになるが、ちょっと待て。

日本国民は四半世紀にも及ぶ慢性デフレにあえいでいる。コロナ感染者がゼロになろうと、一時しのぎの財政からの給付金をばらまこうとも、デフレから脱出できるはずはない。

グラフは四半期ごとの年率換算の名目GDPと、GDPデフレーターの前年同期比増減率の長期的な推移である。インフレ指標としては消費者物価指数(CPI)がよく引き合いに出されるが、国内の供給能力に対する需要不足からくるデフレを表す経済指標としてはGDPデフレーターのほうがよりふさわしい。

日本のGDPデフレーター増減率は平成バブル崩壊不況の1995年からマイナスに落ち込んだ。97年4~6月期から98年1~3月期まではプラスに転じたあと、98年4~6月期からは再びマイナス局面に戻った。プラスになったのは消費税率が3%から5%に引き上げられたために、人為的に物価が押し上げられたからで、実際には需要が落ち込んでデフレ病が進行していた。

デフレーターはその後、原油高騰がモノの価格を押し上げた2008年末から翌年前半にかけてプラスになった期間を除き、13年10~12月期までマイナスが続いた。14年1~3月期にわずかにプラスに浮上したが、同年4月からの消費税率の8%への引き上げ前の駆け込み需要のせいだ。

続く4~6月期からは消費税増税分が価格転嫁されて物価が上昇したが、家計消費は低迷したままだった。17年1~3月期から19年7~9月期までデフレーターの増減率はゼロ%のラインを往復し続けた。

デフレ圧力が根強いにもかかわらず、安倍晋三政権が同年10月から消費税率を10%(食料品など一部は8%据え置き)に引き上げると、デフレーターはそれまでの消費税増税後がそうだったようにかろうじてプラスに転じたが、21年1~3月期から再びマイナスに落ち込んだ。

政府はデフレ圧力が蔓延(まんえん)し、消費需要が低迷している中で、消費税率を大きく上げるという、経済学上の「トンデモ」政策を1997年以来3度も繰り返したわけである。国民への裏切り極まれりだ。

デフレは物価ばかりか内需の萎縮を招き、賃金を押し下げ、パートなど非正規雇用の比率を高める。その結果、物価や賃金を反映する名目GDPを減らす。グラフが示すように、7~9月期の名目GDPは25年前よりも少なくなった。

経済低迷の元凶をひたすら新型コロナに押し付ける財務省御用のエコノミストたちやメディア多数の言説にだまされてはいけない。(産経新聞特別記者・田村秀男)

zakzak

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