<独自>拉致問題の啓発教育推進へ 大阪市教委が通知

産経ニュース

大阪市教育委員会は22日、北朝鮮による拉致問題の啓発教育を推進することを決め、市立高校を含む各校に通知した。市教委への取材で分かった。拉致問題の啓発活動を推進する決議が10月、大阪市議会で採択されたことを受けた対応。学校現場で人権問題としての理解促進を図る。

決議は全国に先駆けて10月に大阪府と大阪市の両議会で可決。拉致被害者の横田めぐみさん(57)=拉致当時(13)=を題材にしたドキュメンタリーアニメ「めぐみ」の上映や、政府主催の北朝鮮人権侵害問題啓発週間(毎年12月10日~同16日)作文コンクールへの参加など若年層向けの啓発活動推進に「積極的に関与する」とした。

各校への通知では、アニメの視聴や啓発週間中の啓発ポスターの掲示を依頼。「拉致問題に対する正しい理解が進む教育」の推進を求めた。

文部科学省によると、平成23年に政府の「人権教育・啓発に関する基本計画」で、人権課題のテーマ項目に新たに「拉致問題」が加わった。ただ、朝鮮半島にルーツがある児童・生徒の差別や偏見につながりかねないなどとされ、学校現場での取り組みは限定的だ。

大阪市教委によると、令和元年度に拉致問題を人権教育の一環で取り上げたのは、市立小中高全435校のうち31校にとどまった。今回、決議を重くとらえた一方で強制にならないようにし、人権学習に拉致問題を取り扱うかなどの判断は学校長に委ねる。市教委の担当者は「政治的中立を保ちつつ、拉致問題を通じた人権啓発に努める」とした。

「人権問い直す機会」 拉致教育実践の校長

北朝鮮による拉致問題の啓発教育を推進するとして、現場での取り組みを進めてきた市立中学校の男性校長は産経新聞の取材に、「人権教育を問い直す契機になる」と意義を語った。

「女性」や「障害者」といったテーマと異なり、若年層にとって身近に感じづらい拉致問題。人権教育で取り上げる学校が限られる中、市教委は昨年度、授業で拉致問題を扱う際の指針となる指導案を提示した。

男性が校長を務める中学校ではそうした案を参考とし、昨年度に2年生が「総合的な学習」の時間を使って拉致が引き起こされた経緯を学んだり、ドキュメンタリーアニメ「めぐみ」を視聴したりしたほか、外部講師を招くなどした。その後も感想や意見を生徒同士で共有する時間を設けた。

校長は自校での取り組みについて「拉致被害者の帰国から20年近くが経過し、家族の高齢化も進む。今後関心が薄れてしまう可能性もあり、なぜこんな人権侵害が起きたのか、しっかりと学ぶ必要がある」と説明する。

教育現場で拉致問題を伝える上での難しさもある。拉致は北朝鮮当局による重大な人権侵害だ。ただ、在日朝鮮人への差別を助長しないかといった懸念も根強く、学校側としても「体力のいる取り組み」(市教委関係者)とされる。令和元年度に拉致問題を人権教育として取り上げた市立学校は全体の7%に過ぎない。

そんな中でも「国籍を問わず避けては通れない人権問題。学校としては子供たちが抱く疑問に対し、考える材料を提供していく責任がある」と校長。今回の通知について、「拉致教育が広がる呼び水になるかもしれない」とした。

  1. 【安保法案特別委採決】辻元氏、涙声で「お願いだからやめて!」と絶叫 民主、プラカード掲げ抵抗

  2. 市から突然1300万円請求…なぜ? 年金生活の80代女性に 専門家「今後数年で同様の高額請求を受ける人は増える」

  3. 【ニュースの核心】「ワクチン入手困難」の韓国・文大統領が“命乞い” あす米韓首脳会談、見抜かれている“二股外交”のツケ…「踏み絵」迫る可能性

  4. 板野友美インスタ更新「何にも変えられない心の支え」 ヤクルト・高橋奎二と結婚

  5. 名将・野村克也が見抜いていた「高津にあって矢野にないもの」