主張

ガソリン高の対策 効果見えぬ補助は再考を

産経ニュース

ガソリン価格の高騰を受け、政府が対策に乗り出した。石油元売り会社に1リットルあたり5円程度の補助金を出し、店頭価格の上昇を抑えることを検討している。

これまでにない異例の対策である。ガソリンの急激な値上がりは消費者だけでなく、運送などの中小事業者にとっても深刻な打撃となるのは確かだ。

しかし、石油元売りへの補助金によって、実際の店頭価格をどこまで抑制できるかは不透明だ。拙速な価格対策は公正な市場をゆがめる恐れもある。

深刻な打撃を被る事業者に対しては、経営を支援する助成金などによる対策が筋である。燃料費上昇に伴う価格転嫁を着実に進めてもらうことも必要だ。政府には対策の再考を求めたい。

資源エネルギー庁がまとめたレギュラーガソリンの店頭価格(全国平均)は、15日時点で1リットルあたり168・9円だった。11週ぶりに小幅下落したが、依然として7年3カ月ぶりの高値圏で推移している。特に10月に入ってからは騰勢を強めている。

これを受け、政府は令和3年度予算の予備費を活用して1リットルあたり170円を超えた場合に補助金を出し、ガソリンや軽油の値上がり抑制を目指す対策を検討中だ。年末年始から来年3月までの時限措置とする方向である。

家計や企業の負担を軽減したい意図は理解できるが、それが石油元売りへの補助金で実現できるのか。特に地方のガソリンスタンド経営は悪化しており、卸価格の抑制が店頭価格の引き下げにつながる保証はない。

石油元売りがガソリンスタンドに販売価格を指示する行為は独占禁止法に触れる恐れも指摘されている。補助金を出しても店頭での値下げ効果が実感できなければ、国民の不満はかえって高まる。

ガソリンをめぐっては、価格高騰時に税金を一時的に減税する「トリガー条項」があるが、東日本大震災の復興費用を賄うために凍結された。政府は買い控えやその後の反動による混乱を懸念し、凍結を解除しない方針だ。

世界的な脱炭素の流れで石油・天然ガスの開発投資は減退しており、資源価格は高止まりするとの予測もある。反動を吸収できる長期的な対策として、トリガー条項の一部適用なども検討する必要があるだろう。

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