一聞百見

古典芸能をアップデート 劇団主宰・木ノ下裕一さん

産経ニュース

軽やかなJポップの音楽が流れ、俳優が突然、歌い出す。ミラーボールが光り、普段着を着た俳優が古典歌舞伎のせりふを語る。客席を埋めた若者たちは自然に歌舞伎の世界に入っていった。そこには、古典芸能は難解というイメージはない。劇団「木ノ下(きのした)歌舞伎」は「歌舞伎を現代にチューニングする」作品を発信し続ける。京都を拠点に、近年はパリで公演を行うなど活動は広がるばかり。「誰もやっていない手法で古典作品を現代劇として復元したい」。そこには劇団主宰、木ノ下裕一さんの古典への限りない愛がある。

きのした・ゆういち 昭和60年7月4日、和歌山市生まれ。京都造形芸術大(現・京都芸術大)映像・舞台芸術学科卒。平成18年、古典芸能の作品を現代の視点でアプローチする劇団「木ノ下歌舞伎」を旗揚げ、京都を拠点に活動している。代表作に「黒塚」「勧進帳」「糸井版 摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)」など。歌舞伎俳優、中村七之助さん、中村梅枝(ばいし)さんらが出演した東京・渋谷のコクーン歌舞伎で、古典作品をベースにした「切られの与三(よさ)」(30年)の台本をまとめた。28年度の文化庁芸術祭新人賞、令和元年度の京都府文化賞奨励賞など受賞。
きのした・ゆういち 昭和60年7月4日、和歌山市生まれ。京都造形芸術大(現・京都芸術大)映像・舞台芸術学科卒。平成18年、古典芸能の作品を現代の視点でアプローチする劇団「木ノ下歌舞伎」を旗揚げ、京都を拠点に活動している。代表作に「黒塚」「勧進帳」「糸井版 摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)」など。歌舞伎俳優、中村七之助さん、中村梅枝(ばいし)さんらが出演した東京・渋谷のコクーン歌舞伎で、古典作品をベースにした「切られの与三(よさ)」(30年)の台本をまとめた。28年度の文化庁芸術祭新人賞、令和元年度の京都府文化賞奨励賞など受賞。


古典と現代を結ぶ可能性

「歌舞伎を斬新な演出で上演する、おもしろい劇団があるよ」

そんな噂を聞いたのは十数年前にさかのぼる。早速、京都の小劇場、アトリエ劇研に見に行った。演目は確か「伊達娘恋緋鹿子(だてむすめこいのひがのこ)」だったと思う。驚いた。暗く小さな無機質の劇空間に、しがらみを表す鎖でつながれた若い娘の姿があった。

古典歌舞伎を新たな視点で上演する。そういう公演は当時、すでにあった。現代演劇の演出家、串田和美さんと歌舞伎俳優、十八代目中村勘三郎さんの共同作業として、東京・渋谷の劇場、シアター・コクーンで行われている「コクーン歌舞伎」、劇団「花組芝居」もまた、古典作品を、歌舞伎と小劇場演劇の演出を交えて上演、人気を呼んでいた。

しかし、京都で産声をあげたばかりの「木ノ下歌舞伎」は、そのどれとも違っていた。当時はまだ粗削りながら、古典と現代を結ぶ新しい可能性を感じさせた。

「日本人として変だなあ」

「僕がやりたかったのは、その作品が江戸時代に初演された際の感動や、当時の観客が体感したものを現代に復元したらどうなるか、ということなんです」

たとえば、古代日本を揺るがした乙巳(いっし)の変(645年)を題材にした「妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)」。敵対する家同士の息子と娘が恋仲になるという展開は、シェークスピアの「ロミオとジュリエット」によく似ている。

「『ロミオとジュリエット』というと日本人でもすぐに悲恋のイメージがわく。『妹背山婦女庭訓』といっても、『なにそれ?』という感じですよね。距離も時代も遠いシェークスピアの方が身近に感じられるというのも、日本人として変だなあと思ったんです」

しかも、シェークスピア劇やギリシャ劇は、さまざまに新解釈の演出で上演されている。

「でも、日本の古典の戯曲をアップデートすることは多くない。もったいないな、と思いました」

平成18年、古典と現代を橋渡しする「木ノ下歌舞伎」を旗揚げ。そんな木ノ下さんがもっとも影響を受けた古典は、実は桂米朝さんの落語であった。

  1. 【底辺キャバ嬢の盛り場より愛を込めて】困窮女性の大量参入で「ヤバいパパ」が急増 シャワー浴びてる間に財布からお金を盗み逃走

  2. 愛子さまご成年 3種類のドレスご着用、「ティアラ」で正装も

  3. 日大・田中理事長は「相撲界の常識」踏襲 知らぬ存ぜぬでスキャンダル乗り切った過去

  4. 市から突然1300万円請求…なぜ? 年金生活の80代女性に 専門家「今後数年で同様の高額請求を受ける人は増える」

  5. 保健室女性教師「ソープ勤務」だけじゃない ハレンチ教員懲戒事件簿