九大、日本の研究力向上へ博士人材の育成本格化

産経ニュース
大学院の博士課程の学生支援を強化する九州大学
大学院の博士課程の学生支援を強化する九州大学

九州大学が博士人材を輩出する取り組みを本格化させる。今秋から大学院の博士課程の学生に生活費や研究費を支援し、就職も後押しする。日本では博士課程に進学する学生の減少が続き、研究力の低迷が問題視されている。若手研究者の育成は国力の源泉でもあり、九大は学生が研究に専念できる環境を整え、世界の研究者と渡り合える人材を育てる。

取り組みは、経済的支援▽教育プログラムの充実▽企業関係者との交流-の3つの柱で構成する。

九大大学院の博士課程の学生のうち年度あたり349人を対象に、生活費相当額として月額20万円、研究費を最大50万円支給する。期間は令和9年度までで、費用は文部科学省の補助を活用する。

対象者には、課題設定や社会での応用力など、高度な学力を習得する教育プログラムを提供し、企業の研究所長クラスや人事担当者を招いた研究発表の機会を設ける。

九大によると、博士課程への進学が敬遠される理由に、研究中の経済不安や就職先が見つかりにくいなどのイメージがある。一方で企業関係者にも、特定分野の研究に取り組む学生は視野が狭く、協調性が欠けると見る向きがあるという。学生と企業が出会う場をつくることで負のイメージを払拭し、就職先の確保につなげる。

文科省が直轄する科学技術・学術政策研究所(東京)によると、日本の博士号取得者数は平成18年度をピークに減少傾向が続き、人口100万人当たりの博士号取得者数は、米英や中国を含めた主要な7カ国中で日本だけが減少している。

背景として修士課程から博士課程に進学する学生の大幅減があり、全国での進学率は令和2年までの20年間で4割減少した。九大でも博士課程の入学者数は、平成23年に815人だったのに対し、令和2年は634人となった。

取り組みを担当する九大の君塚信夫主幹教授は「このままでは日本人の研究者が日本から生まれなくなり、世界的競争に伍(ご)していけない」と強調した。九大の教育プログラムでは、近視眼的なテーマばかりでなく、専門分野以外の課題発見や対応力も磨き、優れた人材を持続的に送り出せる体制を築く。

石橋達朗総長は「博士課程に進学する学生の減少は日本として危機的な状況であり、10、20年後にはノーベル賞の受賞が難しくなるだろう。(若い研究者に対する)企業のマインドを変えることも重要だ」と指摘した。

日本では人口が減少する一方、環境問題や人工知能(AI)技術の普及などで世界情勢は激変しており、研究力の低下は国力低下に直結する。博士課程の学生を支援する文科省の施策に加え、政府は世界と肩を並べる先進的な研究大学を支援する10兆円規模の「大学ファンド」を創設し、科学技術立国の実現を目指している。(一居真由子)

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