公明党の西田実仁(まこと)税制調査会長は17日、産経新聞のインタビューに応じ、賃上げを行った企業を税優遇する「賃上げ税制」の要件について、令和4年度税制改正で大幅に見直す方針を明らかにした。現行制度の対象は、新規雇用者の給与総額を一定以上増やした企業に対し法人税額から15%分を控除しているが、これを非正規雇用も含めた継続雇用者の給与総額に要件を改める。控除率も中小企業は30%に倍増させ、企業の賃上げ意欲を促す考えだ。
西田氏は「企業が賃上げをするには原則、生産性を向上しないとできない」と指摘。「賃上げと生産性向上という二兎を追う企業をより手厚く支援した方が永続性がある」とし、税優遇の条件に「一定以上の生産性向上につながる投資」を加えて制度設計を見直す。
また、給与総額の要件はボーナスなどで賃金が増えた分を外し、定期昇給やベースアップなどで給与水準を引き上げた場合に限ることにより一時的ではない給与の底上げを図る。中小企業はボーナスも含めた給与総額を対象とし、転職の多い非正規雇用者の給与水準が上がる仕組みも考える。
一方、借入残高の1%分を所得税などから控除できる住宅ローン減税については、控除を縮小する方向で検討する。低金利を背景にローン金利が1%を割り込むことが多く、控除額が支払い利息額を上回る「逆ざや」が発生するケースに対応する。ただ、脱炭素社会に貢献する環境性能の高い省エネ住宅は控除率を上乗せする優遇措置を設ける。
3年度税制改正で実施した、固定資産税の税額が上昇する土地について税額を据え置く措置は、新型コロナウイルス感染症の影響が続いていることを考慮し、延長を求める。ただし、対象は土地の評価額が上昇する商業地に限定し、税額を据え置くか、評価額の上昇分を期間限定で引き下げるかを検討する。