銀行で堂々と「虚偽勧誘」、密室営業の〝落とし穴〟 7億円超詐欺

産経ニュース

高金利の「特別」な偽の金融商品を顧客に勧め、預かった現金をだまし取っていたとして、三井住友信託銀行の元行員の男が、警視庁に詐欺容疑で逮捕された。不正に得ていたのは7億円超に上っていたことも判明。捜査で浮かび上がったのは密室営業の隙を突いた男の巧妙な手口と、大胆な犯行だった。(宮野佳幸)

生涯年収3倍を詐取

「普通預金から出金して(高金利の)キャンペーンで定期預金を作れます」

逮捕された松本裕一容疑者(37)は昨年7月ごろ、こう顧客の70代女性に切り出して勧誘していたという。金利は0・3%と説明。さらに100万円ごとに2千円のギフト券がもらえるという条件も示していた。信じ切った女性は3500万円を預けたという。

通常、銀行は、こうした普通預金からの引き出しの際には、着服防止に2人で対応することになっているという。捜査関係者によると、女性の場合も、2人で対応していた。だが、手続きが終わり、もう1人が席を離れた隙に、手続きをするように装い、現金を預かっていたという。

松本容疑者は、この単純とも言える手口を駆使。平成30年5月から約2年半の間に、十数人から現金を預かっていた。その額は一般的な生涯年収の2~3倍にも達する約7億6000万円にも膨らんだ。

自転車操業

ただ、長らく犯行の発覚を免れていた。「定期預金への入金は1カ月後」などと説明し、実際に手元にある別の顧客の現金の一部で定期預金を作るなどして対応していたという。

自転車操業で、最後は首が回らなくなり、令和2年12月ごろ、上司に「顧客の金を使い込んでどうしようもなくなりました」と申告。不正に得た7億円超のうち約4億円は顧客に戻せたが、残りの3億円超は消費されていた。

捜査係者によると、着服金の使途先の大半はギャンブル。競艇や競馬で、インターネット上には約14万回も舟券を購入していた履歴も確認されたという。勤務中も購入していたとみられ、捜査関係者は「まさに身を滅ぼすほどのめりこんでいたようだ」と話す。

難しい不正防止

三井住友信託銀行は2年12月、松本容疑者を懲戒解雇処分にし、被害に遭った顧客には全額補償するなどの対応に追われた。こうした目の届かない「密室営業」の弊害は度々指摘され、外部での顧客からの現金を受け取りを禁止する金融機関も出ており、同行も顧客宅での現金の取り扱いを原則禁止した。

金融機関のコンプライアンスに詳しいのぞみ総合法律事務所の川西拓人弁護士は「上司らが日ごろから職員とコミュニケーションを取り、不正の端緒に気付けるかが重要だ」と指摘。担当者以外が顧客に契約状況を直接確認するなどの対策も有効だとする。

その上で、川西弁護士は「常識的ではない金利や名刺を預かり証に使うなど正式な書類でないことが疑われる場合は担当者以外に確認してほしい」と顧客側に呼びかけた。

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