歌姫伝説 中森明菜の軌跡と奇跡

交際が噂されたマッチと一騎打ち⁉ 負けられない85年「レコ大」

zakzak
賞レースに明菜も乗り出したが…
賞レースに明菜も乗り出したが…

毎年11月に入るとレコード業界は「紅白」と「賞レース」の話題に染まる。

そして1985年11月。中森明菜は『ミ・アモーレ[Meu amoré…]』で日本レコード大賞の「大賞」獲りを宣言した。明菜の所属レコード会社だったワーナー・パイオニア(現ワーナーミュージック・ジャパン)で担当プロモーターだった田中良明(現在は「沢里裕二」名義で作家活動)は振り返る。

「『紅白』については大きな対策は必要なかったのですが、『レコ大』は全く違っていました。正直いって〝賞レース〟というのは、ウチに限らず、どこも宣伝担当者にとっては勝負でしたからね。しかも当時、われわれの陣頭指揮を執っていた寺林(晁=現エイベックス・エンタテインメント・レーベル事業本部アドバイザー)さんの大賞への執念はすさまじかったです。連日連夜の会議で『絶対に大賞を逃すな』と説法されるのですから、必死にならざるを得ません。不眠不休で駆け回りました。しかも当時は審査員が今の2、3倍はいました。現場のわれわれには票の行方なんて分かりませんでした」

田中は審査員の元を大みそかまで駆け回った。

明菜は、デビュー年の「新人賞レース」では選考から漏れた。翌年(83年)の「レコ大」では「ゴールデン・アイドル特別賞(TBS賞)」、さらに84年には「最優秀スター賞」を受賞したが「いずれも大賞の本筋からは外れたものだった」(音楽関係者)。それだけにデビュー以来、明菜の制作と宣伝を統括していた寺林にとっては意地のようなものがあった。

「明菜の実績を数字だけではなく目に見える形で世間に知らしめたい」

ところが、その「賞レース」にいち早く名乗りを上げたのは、この年のRVCレコード(現アリオラジャパン)からCBS・ソニー(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)に移籍した近藤真彦だった。しかも「レコ大」の前哨戦となる「日本歌謡大賞」(11月28日に東京・日本武道館で開催)でマッチは大賞に輝き、明菜は「放送音楽プロデューサー連盟賞」に甘んじていた。寺林にとって「レコ大」は負けられない〝賞争い〟となっていたが、明菜の参戦にTBSは大歓迎だった。

「共演映画『愛・旅立ち』が興行的にも大ヒットし、交際が噂されていた2人の一騎打ちですからね。当然、『視聴率アップにつながる』というわけです」というのは古参の音楽関係者。

その一方で「明菜の大賞狙いは実績の上でも十分に理解できますが、対戦相手がマッチで、しかも下馬評で『マッチが有利』などとささやかれていたのは理解不能でしたね。本来の構図で考えたら明菜の対抗馬はマッチではなくチェッカーズだったはずですから」

実際、CBS・ソニー内からも「賞の権威がだんだん薄れていく中で、ここで明菜が負けたら賞の権威はゼロになるのではないか」と疑問を投げかける声もあった。実際、それは「賞レース」の対象期間となるデータを見ただけでも一目瞭然だった。

オリコンの年間ベストテン(84年11月~85年10月)では、中森明菜は『ミ・アモーレ』が63万枚(2位)、『飾りじゃないのよ涙は』が51万枚(3位)、『SAND BEIGE』が46万枚(5位)と3作品も入ったのに対し、近藤真彦の『ヨイショッ!』は19万枚の売り上げで45位。

こうした現実もあってか、業界関係者からも「これだけの差があっても〝明菜絶対〟の声が出てこないと言うのは、全く分かりにくい世界だ」などと皮肉の声が上がった。

「『レコ大』ではありませんでしたが、83年の『日本歌謡大賞』では、マッチと同じ事務所の田原俊彦が五木ひろしと競って〝大賞〟を勝ち獲っていました。そういった意味から事務所としてはマッチにも何らかの〝勲章〟を獲らせたかった。で、まずは田原と同じ『日本歌謡大賞』での大賞だったわけです。ただそれは『大将』に対しての受賞でした、レコード会社としては、やはり移籍第1弾の『ヨイショッ!』でと思ったのかもしれません」(前出・古参の音楽関係者) =敬称略 (芸能ジャーナリスト・渡邉裕二)

■中森明菜(なかもり・あきな) 1965年7月13日生まれ、東京都出身。81年、日本テレビ系のオーディション番組『スター誕生!』で合格し、82年5月1日、シングル『スローモーション』でデビュー。『少女A』『禁区』『北ウイング』『飾りじゃないのよ涙は』『DESIRE―情熱―』などヒット曲多数。NHK紅白歌合戦には8回出場。85、86年には2年連続で日本レコード大賞を受賞している。

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