トルコ大統領の支持に陰り 止まらぬ物価高、強まる市民の反発

産経ニュース

【カイロ=佐藤貴生】トルコで長期政権を率いるエルドアン大統領(67)の支持率が低迷してきた。通貨リラの記録的な安値が続く中で物価が高騰し、市民の批判が高まっている。欧米との衝突も辞さないエルドアン氏の強権姿勢は国内の経済政策にも及んでおり、その威光に陰りが見えつつある。

トルコの世論調査機関メトロポールは10月、エルドアン氏を支持するとの回答が約39%にとどまり、不支持が約56%に上ったとの調査結果を発表した。同氏への反発がこれほど高まったのは、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の台頭などでテロが頻発した2015年以来で、同氏の与党「公正発展党」(AKP)も支持離れに直面している。

トルコではここ数年、物価高が慢性化し、10月にはインフレ率が前年同月比で約20%に上った。最大都市イスタンブールの公務員、ジェンギズさん(42)は「食品価格が高騰し、果物もキロ単位ではなく1個ずつ買っている。電気料金も値上がりしており、冬の暖房の費用も跳ね上がるだろう」と窮状を訴えた。

物価高は異例の金融政策に基づくリラ安と連動している。通貨安の際には価値を高めるために利上げを行うのが一般的だが、「金利の敵」を自任するエルドアン氏は景気の冷え込みを嫌い、頑強に高金利政策を拒否してきた。

この2年半で意に沿わない中央銀行総裁を3回更迭し、金融政策への政治介入で市場の信頼は失われた。世界が金融引き締め局面を迎えるなか、リラは11日にも対ドルで最安値を更新し、10年前の約2割まで価値を下げたとされる。

トルコは輸出は好調で、国際通貨基金(IMF)は今年の経済成長率を9%と予測している。半面、新型コロナウイルス感染拡大などのため失業率は10%超で推移しており、恩恵は市民に行き渡っていない。

英紙フィナンシャル・タイムズは1日、政権に近い建設業や旅行業などの企業が望んでいるため、エルドアン氏とAKPがリラ安に固執しているとの識者の見方を紹介した。また、同氏がさらなる支持低迷に先手を打つ形で23年に実施予定の大統領選を来年前半に前倒しするとの観測もあり、最大野党「共和人民党」(CHP)などが政権批判を強めていると報じた。

エルドアン氏は03年の首相就任以降、国政で中心的地位を占めてきた。17年には大統領権限を強化する憲法改正を行い、翌年の大統領選で勝利して強大な権限を手にした。

トルコは政教分離の世俗主義を国是とするが、エルドアン氏とAKPはイスラム教の価値観を重視する政策を推進。イスラム系政党の台頭に目を光らせてきた世俗派の軍は16年のクーデター未遂事件などを機に粛清され、政権が軍を掌握したといわれる。

エルドアン氏とAKPの政策により世論は二極分化が進んでおり、政権側が支持回復のために掘り起こせる票田はそう多くはない。半面、野党側にエルドアン氏をしのぐ対抗馬が見当たらないことも事実だ。

エルドアン氏をめぐっては最近、ツイッターの投稿で健康不安説が浮上し、治安当局が虚偽の情報を拡散させたとして捜査に乗り出す事態も起きた。

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