三井住友VISA太平洋マスターズ最終日(14日・静岡県太平洋クラブ御殿場=7262ヤード、パー70)首位から出た谷原秀人(42)=国際スポーツ振興協会=が4バーディー、4ボギーの70で回り、通算6アンダーで逃げ切った。2016年11月の「平和PGM選手権」以来5年ぶりのツアー優勝で、通算15勝目。
ベテランが勝負強さを見せつけた。1打リードで迎えた最終18番(パー5)。6メートルのバーディーパットをねじ込んだ谷原が拳を突き上げた。2位の金谷はピン横1・5メートルにつけていた。外せばプレーオフという状況で、上って下るスライスラインを「30~40センチは切れる」と読み切った。
「あそこで入れないとプレーオフで負けると分かっていた。絶対に入れようと思った。しびれましたね」
2016年11月の「平和PGM選手権」以来5年ぶりのツアー優勝。仲間からウォーターシャワーの祝福を受け、笑顔で身をよじらせた。
2位に2打差の首位から出た最終日。2打目を池に入れた14番(パー4)で4つ目のボギーをたたき、同じ広島県出身で東北福祉大の後輩、金谷に並ばれた。42歳の体は軽度のぎっくり腰で、痛み止めを服用。「おじさん、頑張る」と自らを鼓舞しながら、15番(パー4)で1つ伸ばして再びリードを奪った。
3年弱の欧州ツアー挑戦を経て、19年に国内復帰。昨年10月の「日本オープン」、12月の「日本シリーズJTカップ」で2位に入ったものの、今年は調子が上がらず、3戦前から欧州ツアーのグリーンに「合わない」としまい込んでいたエースパターを〝復帰〟させた。
すると2週前が5位、前週は7位、そしてついに優勝だ。「パットの感覚がずっといい」。12年から3年連続平均パット数1位となった名手に自信が戻る。
「谷原がやれるならと(ほかの)40代も頑張ってくれれば、ツアーも活気づく」
試合から帰ると順位を尋ねてくる10歳の息子は、上位続きに機嫌がいいという。「今回は相当喜んでくれる」。まだまだ、若いもんには負けられない。(一色伸裕)