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俳優・寺田農「面白い作品は全部出たい」 規模が小さい、監督が無名は関係なし 主役は演じ、脇役は想像して肉付け

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寺田農
寺田農

「脚本を読んで『これは』と思えるかどうか。『面白い作品になるぞ』。そう思ったら作品の規模が小さかろうが、監督が無名だろうが、関係ありません。全部出ます」

キャリア60年を誇る重鎮俳優は、出演を決める基準を問うと、こう語り、快活に笑った。

言葉通り、今年も出演作が相次いでいる。コメディー映画「総理の夫」では衆院議長を、長崎原爆を描く「祈り 幻に長崎を想う刻」では元警察予備隊の市議を。「面白そうだ」というアンテナにひっかかった役は多岐にわたる。

「でも、これはできない、なんて断れませんから(笑)」。そんな優しさが引く手あまたの要因の1つでもあるようだ。

12日に封切られる時代劇「信虎」では36年ぶりの主演が話題を呼ぶ。武田信玄の父、信虎に扮した。

主役と脇役。演じる側の心理はどうなのか。

「主演が一番大変だと思うでしょう。演じる側からすると、役作りにおいては一番楽なんですよ」とニヤリ。

「信虎では時代考証を行い、セットも衣装も小道具から大道具まで完璧に準備されていた。だから撮影現場に入るだけで、私は何もせずに自然と信虎になれた。ただ演じるだけでいい。主演とはそういうものです」

では、脇役は?

「主演のキャラクターは脚本に詳しく書かれているが、脇役はそうではない。自分で想像し、肉付けしながら人物造形を膨らませていくんです」

その作業が「楽しいですね」と言う。

長い役者人生。こんなこともあった。

「脚本を渡され、『どの役を演じるか自分で選んで』。そんな監督がいました」

36年前の主演映画「ラブホテル」でタッグを組んだ盟友、相米慎二監督だ。

「彼の作品は何本も出演したけれど、独特の撮り方をする人でね」と懐かしそうに振り返る。

「現場で演技指導を一切しない。俳優自身が、自分の中から湧き出てくるまでいつまでも待つ。ワンシーンに何時間もかける。徹夜してワンカットも撮れないことも珍しくなかった」

そんな現場だから、「新人女優はみんな泣くんです。彼は何も教えないから、私が演技を教える役でした」。

そして宙を見つめながら、こう続けた。

「岡本喜八に実相寺昭雄…。当時の監督はみんな撮り方が独特でね。個性の塊のような彼らの無理難題な要求にすべて応えてきましたよ」

昭和の名匠たちと切磋琢磨する中で、鍛えられ、自身を磨き上げてもいった。

次の作品も気になるが、「若い監督から脚本を渡されましてね。これが、一切セリフがないモノクロ映画。面白そうでしょう。だから決めました」。

もはや自身を磨くというより、出演することで監督を鍛えていく立場でもある。口には出さないが日本の映画界を支え、発展させていく使命を自らに課しているのだろう。その強き信念がひしひしと伝わってきた。(ペン・波多野康雅/カメラ・前川純一郎)

■寺田農(てらだ・みのり) 1942年11月7日生まれ。79歳。東京都出身。早稲田大学中退。61年、文学座附属演劇研究所に第一期生として入所。65年、「恐山の女」で映画俳優デビュー。68年、岡本喜八監督の「肉弾」主演。85年、相米慎二監督の「ラブホテル」でヨコハマ映画祭主演男優賞受賞。NHK連続テレビ小説「澪つくし」(85年)などドラマ出演多数。自他ともに認める読書家。「大変なコロナ禍ですが、この時間を有意義に使わないと。読書の時間がたっぷりとあるのですから」

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