子供へのワクチン接種、させるか否か…保護者に悩み広がる

産経ニュース
大阪市では10月下旬から市の集団接種会場で12~15歳の接種を開始した=10月16日、大阪市北区
大阪市では10月下旬から市の集団接種会場で12~15歳の接種を開始した=10月16日、大阪市北区

新型コロナウイルスのワクチン接種に保護者の同意が必要な15歳以下の子供について、接種させるか否かの判断が分かれている。子供は重症化しにくい一方で副反応の割合が大人よりも高く、躊躇(ちゅうちょ)する保護者もいるためだ。海外では5~11歳の接種が始まり、現在は接種対象が12歳以上となっている国内でも、5~11歳への拡大に向けた動きが加速している。専門家は「信頼できる情報をもとに判断して」と呼びかけている。

「医療を信頼しているので、ワクチンを打つことに不安はあまりなかった」。大阪府吹田市の男性会社員(44)は10月下旬、中学2年の長男(14)の2回目のワクチン接種を終え、ほっとしたという。

かかりつけの小児科で接種を断られ、病院探しに時間がかかった。接種翌日の予定だった学習塾のテストは念のため後日に延期するなど副反応に備えたが、「少し体がだるく感じる程度だったようだ」。

ワクチンの副反応には個人差があるが、子供は大人よりもやや高い割合で起こるとされている。米製薬大手ファイザーが公表した、同社のワクチンを接種した12~15歳の子供の海外の臨床データによると、2回目接種後に38度以上の発熱があったのは19・6%。頭痛は64・5%だった。一方、16歳以上を調べた臨床データでは、2回目接種後の発熱は13・6%、頭痛は46・1%だった。

■悩む保護者「急いで打たなくても」

新型コロナの流行初期は子供の感染者数が少なかったが、感染力が強いデルタ株への置き換わりが進んだ「第5波」では、保育所や学校、塾でクラスター(感染者集団)が発生するなど子供の感染件数が急増。子供から保護者への家庭内感染も広がった。

子供へのワクチン接種をめぐっては、当初は接種対象年齢を16歳からとしていたが、今年6月1日に厚生労働省がファイザー製ワクチンの接種を12歳以上に拡大。さらに同社などが10日、5~11歳への接種について厚労省に承認申請し、5歳以上への拡大も視野に入ってきた。

だが、12歳から19歳のワクチン接種率は他の年代に比べて低く、2回目の接種を終えたのは60・77%(11月8日時点)。子供への接種を進めるため、大阪市では10月中旬から市の集団接種会場で12~15歳の接種を開始した。

厚労省は12~15歳への接種も広げていく方針だが、接種は義務ではなくあくまで推奨。15歳以下の接種には予診票に保護者の署名が必要だ。接種するかの判断に悩む保護者もいる。

13歳の長女と11歳の長男を育てる神戸市の女性会社員(50)は、かかりつけの小児科医に接種について尋ねたところ、「5年後、10年後の影響に関するデータがなく、急いで打たなくてもいいのでは」と言われたという。

長女が在籍する私立中学は生徒の通学圏が広く、長男は年明けに私立中入試を控える。周囲にはすでに接種を済ませた同級生もおり感染への不安はあるが、「信頼する医師の言葉を信じ、しばらく接種を見送ることにした」という。

■副反応と感染の不安、本人の意思確認を

子供へのワクチン接種をめぐっては、和歌山県内の小学校の児童が「接種後に死亡した」とする誤った情報が会員制交流サイト(SNS)上で拡散し、同県の仁坂吉伸知事が否定する事態にもなった。

新型コロナやワクチンに関する正確な情報発信を進める医療従事者によるプロジェクト「こびナビ」の幹事で小児科医の岡田玲緒奈さんは「信頼できるところから情報を得て判断してほしい」と注意を呼びかける。

こびナビや日本小児科学会はインターネットサイトで情報発信を続けている。若者特有の重篤な副反応の症状としては、ごくまれに接種後1週間以内の男性で心筋炎を発症することがある。胸の痛みや息切れ、動悸(どうき)などが特徴で、「速やかに医療機関を受診してほしい」と岡田さん。

また、過度の緊張やストレスから採血時に気分が悪くなる血管迷走神経反射の経験がある子供は横になって接種し、接種後30分程度様子を見守るなどの対応が推奨されるという。

岡田さんは「副反応などへの不安は自然な反応だ」と前置きしつつ、「いつ感染するか分からないという不安が子供に与える影響も見過ごせない」と話す。「大事なのは、子供本人の意思も確認すること。子供に中立な情報を与え、本人と保護者が納得した上で接種について判断してほしい」と訴えた。(木ノ下めぐみ)

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