美村里江のミゴコロ

モンハナシャコ出会い編

産経ニュース

皆さん、生き物はお好きだろうか。私は大好きで、幼少期から昆虫や爬虫(はちゅう)類、両生類、甲殻類、魚類、ウサギ、ネコなどを飼育してきた。それに輪をかけ、理学の専門知識で多数を飼育してきた夫と結婚したので、わが家は生き物が多い。

といっても、イヌやネコなどの哺乳類はいない。お互い出張が多くかわいそうということで、最低でも1週間の断食でも大丈夫な生き物、水生生物が主なペットとなった。

家には水温、塩分濃度の違う水槽がいくつかある。 ・淡水18度(イワナとウナギ)

・淡水27度(アロワナ)

・海水23度(モンハナシャコ、クエ、オニカサゴなど)

今回はこの中でモンハナシャコの生態をご紹介したいと思う。プロの飼育者のいる水族館でも、まだ長期飼育の記録が少ないモンハナシャコ。解明されていない部分も多い生き物である。

パワーをためて打撃を繰り出すハンマー状の腕を持ち、テレビや図鑑ではそのパンチ力を紹介されることが多い。あまりのスピードに海水が瞬間沸騰して泡が出るほどの威力。捕食するカニの甲羅を一撃で砕き、魚もふらふらになって簡単に捕食されてしまう。

実際、わが家でも60センチ水槽のガラスにヒビを入れた個体がおり、その後分厚い水槽に限定している。

が、本当にすごいのはそこだけではない。私が初めて実物のモンハナシャコに出会ったのは、水族館だった。別の展示目当てに夫婦で訪れたのだが、衝撃的な瞬間を目の当たりにした。

水槽内の岩の後ろから、突起状の目玉だけをのぞかせていて「これは出てこないかな」と水槽の前を立ち去ろうとした、そのとき。

急にすすすっと水槽の前面に出てきたモンハナ。ん、何か持っている? と視線を戻すと、餌として与えられたらしい小さな巻貝をハンマー状の両腕に挟んで静止していた。その数秒後、その巻貝をこちらに向かって投げた。

われわれは固まった。本来打撃に使う腕を投擲(とうてき)に使ったのを目撃し、「なんだ今の!」と大興奮。その後、このモンハナシャコだけを目当てに、5周も順路を巡り続けたのだった。

特別な賢さを感じ飼育して観察したいと思ったが、帰宅後に調べると大変難しいと判明。私は諦めた。しかし、わが家には生物飼育のプロがいたのである…(次回飼育編)。

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