横浜連続点滴中毒死事件の判決要旨

産経ニュース
久保木愛弓被告
久保木愛弓被告

横浜点滴中毒死事件で、元看護師の久保木愛弓被告に対する横浜地裁判決の要旨は次の通り。

【責任能力】

検察側は被告には自閉スペクトラム症の特性があるものの、事件の実行への影響は極めて小さく、完全責任能力があったと主張。弁護側は、殺害という手段を選択した点に統合失調症が強く影響しており、心神耗弱だったと主張していた。

被告は鬱状態ではあったが看護師業務をこなすなど、統合失調症を発症したとは認め難い。

患者が急変して死亡し、看護師が家族から責められる場面に遭遇して強い恐怖を感じたため、自分の勤務時間中に対応を迫られることがないようにとの犯行動機は、根本的解決にならないことを考慮しても了解可能。

目的に沿った殺害手段を選び、発覚しないよう注意して違法性も認識していた。鬱状態だとしても行動制御能力が著しく減退しておらず、完全責任能力が認められる。

【量刑理由】

量刑を決めるに当たり、3人の生命が失われた結果が重要である。苦痛の中で生命を奪われ、遺族が悲痛な心情と厳しい処罰感情を述べるのも当然だ。

被告は看護師としての知見と立場を利用し、発覚しないよう工夫しながら犯行に及んだ。計画性が認められ、生命軽視の度合いも強く、悪質だ。動機は自分が患者の家族対応をしなくていいようにするためで身勝手極まりない。刑事責任は重大で死刑か無期懲役を科すべきである。

被告は臨機応変に対応するといった看護師に求められる資質に恵まれなかった。鬱状態となり、退職を考えたものの仕事を続けてストレスをため込み、不安軽減のために患者を殺害するという短絡的な発想に至った。動機形成過程には被告の努力ではいかんともしがたい事情もあった。

今回の犯行は反社会的行為ではあるが、被告はもともと反社会的な価値観や傾向はなかった。逮捕後に全て認め、公判でも自身に不利なことも含めて素直に供述している。事件の重大性を認識し、遺族らに謝罪、最終陳述では死んで償いたいと述べている。更生の可能性も認められる。

以上を考慮すると、被告に死刑を選択することは躊躇(ちゅうちょ)せざるを得ず、死刑がやむを得ないとは言えない。被告には無期懲役を科し、生涯をかけて罪の重さと向き合わせることで償いをさせるとともに、更生の道を歩ませるのが相当だ。

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