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片桐さやか准教授に聞いた、生活習慣病と歯周病菌のメカニズム

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東京医科歯科医大学大学院医歯学総合研究科歯周病学分野の片桐さやか准教授(提供写真)
東京医科歯科医大学大学院医歯学総合研究科歯周病学分野の片桐さやか准教授(提供写真)

食欲の秋、食べ過ぎでつい体重が増える人は多い。放っておいて、筋肉にも脂肪がたまると代謝が落ちてさらに太りやすくなる。それを後押しするのが歯周病菌である。ここまでは前回ご紹介した。

「歯周病菌が腸内細菌叢(そう=多種多様の細菌の集まり)を変化させることがわかりました。その結果、骨格筋の脂肪化が促進されると考えられるのです」

こう話すのは、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科歯周病学分野の片桐さやか准教授=顔写真。歯周病菌と腸内細菌叢の変化に伴う骨格筋の脂肪化促進や、糖尿病との関係などのメカニズム解明の研究に取り組んでいる。

「歯周病菌によって骨格筋の脂肪化が促進されたマウスの実験では、腸内細菌のツリシバクター属が減少していることがわかりました。ツリシバクター属は、酪酸を産生し、インスリン感受性をよくする腸内細菌です」

腸内細菌が作る酪酸は短鎖脂肪酸の一種で、大腸などの臓器を動かすエネルギーの一部として人間が利用している。酪酸を作る腸内細菌は、人間にとって大切な共生相手ともいえる。

一方、インスリン感受性というのは、血糖値をコントロールするホルモンの一種であるインスリンの効きに関係する。インスリン感受性がよいと、食後に分解されて血中を流れるブドウ糖は、細胞に効率よく取り込まれることになる。インスリン感受性が悪いと、細胞はブドウ糖を取り込みにくくなる。

「歯周病菌がツリシバクター属などの腸内細菌叢を変えることで、インスリンシグナルが低下し、ブドウ糖の取り込みが悪くなります。その結果、骨格筋の代謝異常が起こり、骨格筋の脂肪化が促進されると考えられるのです」

骨格筋の脂肪化は、筋肉量を減少させて身体活動量を下げるサルコペニアも引き起こす。また、ブドウ糖の細胞への取り込みが悪くなることで、食後の血糖値が上がり続けることで、2型糖尿病にもつながる。

「今世紀に入り、歯周病の治療を行うと高血糖が改善するとの研究報告は、国内外で相次いでいます。また、生活習慣病や肥満と歯周病との関係を示す報告があり、そのメカニズムの一環として、私たちは歯周病と腸内細菌叢の変化の研究を続けているのです」

恐ろしいことに、歯周病菌は容易に腸内細菌叢の構図を変える力を持つ。歯周病の治療や予防も大切だが、腸内細菌叢を正常に戻すため、善玉菌などを含む食品(プロバイオティクス)を食べるというのもひとつの方法だろう。

「今のところ、歯周病菌で悪影響を受けた腸内細菌が、プロバイオティクスで改善された報告はありません。歯周病を治療・予防することが重要です」

歯周病予防については次回紹介する。(安達純子)

■歯周病菌と生活習慣病の関係

□歯周病菌が体内に侵入すると太りやすくなる

□メタボリック症候群の人は歯周病になりやすい

□歯周病があると筋力低下&身体活動能力低下のサルコペニアになりやすい

□糖尿病の人は歯周病になりやすく、歯周病治療を受けると血糖値が改善しやすい

□心筋梗塞や動脈硬化にも、歯周病は関わるといわれている

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