人間の「しあわせ」追求 相田みつを美術館で企画展

産経ニュース
「しあわせは」(1958年)
「しあわせは」(1958年)

書家で詩人、相田みつを(1924~91年)が世を去って30年。開館25周年の節目でもある相田みつを美術館(東京都千代田区、東京国際フォーラム内)ではいま、特別企画展「みつをが遺(のこ)したものⅡ」が開催されている。書家が終生追い求めた「しあわせ」について、約100点から読み解く構成となっている。

「しあわせはいつも/自分の心がきめる」

創作初期の30代から67歳で没するまで、相田が書き続けた2つの代表作がある。一つがこの「しあわせはいつも」で、もう一つが「つまづいたって」。

「つまづいたって/いいじゃないか/にんげんだもの」

「2作品は父の人生の表裏のようなもの」と長男の相田一人(かずひと)館長は語る。中国から取り寄せた画仙紙を惜しみなく使うなど、妥協のない創作スタイルを貫く一方、明日の米より今日の米を心配するほど家族の生活は逼迫(ひっぱく)していたという。「悪戦苦闘の中で生まれた『しあわせはいつも』は私が最初に記憶した父の作品で、この言葉が散乱する中で育った。父にしか書けなかった言葉だと思います」

しあわせを「心」と結びつけた相田の言葉は、物質的豊かさが求められた高度成長期やバブル期にはほぼ顧みられなかったが、没後、人々の中に浸透していった。「不思議と、大きな災害が起きるたびに思い起こされるようです」と館長。「うばい合えば足らぬ/わけ合えばあまる」が、東日本大震災の直後に注目されたのは記憶に新しい。

東京国際フォーラムが東京五輪の競技会場だったために長期休館を余儀なくされた同館だが、力強い筆触や多彩な表情など「書」を味わえるのは展覧会ならでは。作品「逢」の一文字が、コロナ禍を経験した心に染み入ってくる。「父の言葉は当たり前の日常から生まれたものですが、当たり前の日常がなくなったとき、求められるのかもしれません」

令和4年1月30日まで。年末年始(12月29日~1月1日)休み。

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