くじら日記

迷いイルカ④ 「ハーフの可能性」

産経ニュース
和歌山県の太地町立くじらの博物館で暮らすハンドウイルカ属雑種第一代の「スバル」
和歌山県の太地町立くじらの博物館で暮らすハンドウイルカ属雑種第一代の「スバル」

小型鯨類飼育施設を備える和歌山県太地町森浦湾に、2019(令和元)年11月30日から突如姿を見せるようになった種不明の「迷いイルカ」。2020(令和2)年2月14日、自ら生け簀に入り込み、迷いイルカ騒動は新たな展開に。外部形態の調査を行いましたが種判別には至らず、残された手段はDNAを用いた遺伝子解析のみとなりました。採取した皮膚を研究者に預け、結果を待ちます。

ひと月経ち、迷いイルカが何者か、ついにその答えに行き着きました。「母系がミナミハンドウイルカ、父系がバンドウイルカのハーフ(雑種第一代)である可能性が高い」と。意表を突かれましたが、今まで種を特定できなかったのは雑種であったためと、留飲が下がる思いでした。

もう一つ不可解なのは、たった1頭で、どこから、何をしに来たのかということ。母系の遺伝情報を読み取ることができるmtDNAを調べると、面白いことがわかりました。迷いイルカと、伊豆諸島の御蔵島(東京都)や中国の水族館で暮らすミナミハンドウイルカの遺伝情報が99%一致したのでした。

日本近海の個体群の研究実績がほとんどないこともありますが、この迷いイルカの母親は、遠いところでは大陸近海で暮らしていた可能性も考えられたのです。

そうであれば、母親のミナミハンドウイルカが大陸から日本に来遊し、バンドウイルカと繁殖したのか。あるいは、大陸でバンドウイルカと繁殖し、誕生した迷いイルカが日本まで泳いで来たのか。

どちらにせよ、1頭で森浦湾に迷い込んだところを見ると、雑種であることから育った群れの暮らしが合わず、自分の生き方を探し旅立った、ということも考えられます。その果てにたどり着いた森浦湾で、飼育イルカとの暮らしを選んだというのは感慨深いものです。ひも解かれた迷いイルカの正体と物語は想像が絶えず、ロマンすら感じます。

ここまでの研究で得られた成果は、日本哺乳類学会の科学雑誌「Mammal Study」で発表し、広く知られることになりました。また、ハンドウイルカ属雑種第一代であることと、その研究計画に学術的意義が認められ、長期的に飼育することになりました。

「迷いイルカ」は、ミナミハンドウイルカの特徴でもある腹部の黒斑模様を星団に見立てて「スバル」と名付けられ、現在くじらの博物館で暮らしています。

(和歌山・太地町立くじらの博物館副館長 稲森大樹)

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