日米中、台湾など21カ国・地域が参加するアジア太平洋経済協力会議(APEC)の閣僚会議が8日、2日間の日程で始まった。日本からは萩生田光一経済産業相らが参加し、中台双方が9月に加入申請した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関し、自由貿易などをめぐる高い水準のルールの維持の重要性を強調した。新型コロナウイルス禍からの地域経済の回復に向けた国際協調も確認。閣僚声明がまとまれば、12日に予定される首脳会議の議論のたたき台になる。
萩生田氏は、中国を念頭に、「市場歪曲(わいきょく)的措置の是正、電子商取引のルール作り、世界貿易機関(WTO)紛争解決制度の改革などの実現に向け、連携を強化したい」と述べた。また、足元の原油価格の上昇などをふまえ、「緊密な連携を図り、新型コロナ危機からの経済回復に協力していこう」と呼びかけた。
今回はニュージーランドが議長国で、新型コロナウイルスの感染拡大の影響などもあり、昨年に続きテレビ会議方式で開催。東アジアの15カ国が参加する「地域的な包括的経済連携(RCEP)」の2022年1月の発効が決まるなどいくつかの枠組みで動きがある中、APECでも自由貿易の活性化の議論を深めるほか、グリーン成長やデジタル化推進などを優先課題とし協議する。
APECは太平洋を囲む国・地域が参加する経済協力の枠組み。TPPに参加する全11カ国が、APECのメンバーとなっている。