脳を知る

「脳死」すべての脳機能が障害 臓器提供の意思表示は

産経ニュース

秋も深まってまいりましたが、皆さま、お変わりございませんでしょうか。今回は、「脳死」についてお話しします。脳死という言葉は聞いたことがあると思いますが、「脳死」と「植物状態」の違いはお分かりでしょうか。脳死も植物状態も重度の意識障害ですが、全く違う病態です。

脳は、大脳、小脳、脳幹から構成されています。大脳は、思考、判断、記憶、認知、言語、運動を指示するなど知的な機能をつかさどっており、小脳は姿勢や運動を調整します。脳幹は、意識、呼吸、心拍、消化、体温調節など、生命維持と関連する重要な機能を調節している部位です。

植物状態は、大脳が障害されますが、脳幹は生きています。つまり、思考や認知機能などが障害されても、自分で呼吸して排泄もします。生命を維持する機能が残っているため、回復する可能性もあります。脳死は、脳幹を含む全ての脳機能が障害されて自分で生命を維持できない状態です。脳死では人工呼吸器や薬剤などで何とか生命を維持する状態となりますが、循環動態も次第に維持できなくなるため数日から数週間で心臓も停止します。脳死は、回復の見込みがない絶望的な状態と言えます。

日本では、一般的に心臓が停止する心臓死が「人の死」として認識されています。日本で脳死が法的に認められるのは、臓器移植を行う場合のみで、脳死と判断するためには、法律で決められた通りに脳死判定を行う必要があります。脳波検査や脳幹反射の有無、自発呼吸の有無を2人の医師で時間をおいて2回評価する必要があります。臓器移植をしない場合は、たとえ脳死状態である可能性が非常に高くても、法的脳死判定をしないため、脳死状態であると判断できません。

脳死や臓器移植については、個々の価値観、理念、死生観、宗教などにより議論の多いところです。脳死を「人の死」と考えるかどうかは、さまざまな考え方があり、将来的に皆が一致することもないでしょう。臓器移植についても、同様にさまざまな意見がありますが、臓器提供をするかどうかを考えることは大切です。保険証や運転免許証、マイナンバーカードの裏に、臓器提供についての意思表示覧がありますが、記入している人は残念ながら少ないようです。脳死となり、本人の臓器提供の意思表示がはっきりとされていれば、家族も迷うことはありませんが、意思表示がされていない場合は、家族の意向に委ねられるため、家族が悩まれるケースもあります。脳死という絶望的な状況で、さらに家族に精神的負担をかけることもあります。もしもの時のために、家族で話し合い、少しでも思いを伝えておくことは家族への思いやりにもなります。臓器提供をしないことも立派な意思表示だと思います。臓器提供について、今一度考えてみてはいかがでしょうか。

(和歌山県立医科大学 脳神経外科講師 八子理恵)

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