「無職」が頂点へ 波乱万丈乗り越え星子が初戴冠 全日本選手権/剣道

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初優勝を果たし、笑顔を見せる星子啓太=日本武道館
初優勝を果たし、笑顔を見せる星子啓太=日本武道館

(剣道全日本選手権=3日、東京・日本武道館)

今年3月の前回大会で3位だった星子啓太4段(23)が初優勝。プログラムの所属欄に「無職」と記載されている〝異色の経歴〟の持ち主が頂点に立った。

「1年間、とても悔しい思いをしてきたので、ホッとしています」

天皇杯を手にした星子は笑顔で喜びを話した。決勝では筑波大の先輩・林田匡平5段(27)=福井・丸岡高教=から面で2本を奪った。

コロナ禍で今年3月に長野で行われた前回大会では、大学の同期で優勝した松崎賢士郎に準決勝で敗れた。それ自体もショックだったが、本人にとってもっとショックな出来事は、その半年前に起きていた。

鹿児島県出身。高校は熊本の名門・九州学院高で、選抜、玉竜旗、魁星争奪、高校総体の高校四大大会を制覇。筑波大では3年時に全日本学生選手権を制し、2018年世界選手権(仁川)で団体優勝に貢献と、エリート街道を歩んできた。

ところが、剣道の活動で有利な警察官を目指した昨年秋、就職試験に失敗。「自分には何もないと、虚無感に襲われた。どうすればいいのか分からなかった」

それでも「剣道をしていないと立ち直れない」と、不合格発表の翌日からさらに稽古に打ち込んだ。両親の理解もあり、卒業後も筑波に残って後輩たちと稽古を積む。学生と一緒の朝夕の稽古はもちろん、授業時間などには一人で汗を流した。

「学生時代とは(鍛えられて)体の作りが違っている。計画性があり、自己管理もすごい。彼がいることで学生の見本になる」とは筑波大の鍋山隆弘監督だ。

「学生時代より練習時間は確保できた。気持ちで戦うしかない局面で自信をもって剣道をするには、(日ごろから)稽古をするしかないと思っていた」と星子。「自分が一番稽古をしてきたと胸を張って言えるし、両親がその環境を作ってくれた」と感謝する。

コロナ禍で昨年春から1年半、本格的な稽古をできなかった警察官が、2大会ぶりに参加。しかし優勝候補と目された第62回大会覇者の竹ノ内佑也5段(28)=警視庁=や18年世界選手権個人優勝の安藤翔5段(31)=北海道警=らは稽古不足がたたり1回戦で次々と姿を消した。

次回大会からは、こうした警察勢が本来の力を取り戻すと予想される。来春の警察就職が内定している星子も「自分の優勝の可能性は低くなるとは思う」と冷静に話す。

それでも「優勝できた貴重な経験は今後に生きる」。学生時代から目標とするのは前人未到の全日本選手権3連覇。「誰もなしえなかったことをしたい。そのスタートラインに立てたのは大きい。また来年、この舞台に帰ってこられるよう、一から頑張りたい」と、今後を見据えた。

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